問1. 肥満症に関して正しい記述のものをえらべ。
a) 本邦においても、欧米と同様にBMI≧30が肥満と定義づけられる。
b) 肥満症はBMIさえ高ければ診断づけることができる。
c) ウエスト周囲長において、男性で75cm以上、女性で85cm以上であれば内臓脂肪の蓄積が疑われる。
d) 肥満症の減量目標は、現体重の5%である。
e) 高度肥満症の減量目標は、現体重の5~10%である。
解答を読む解答 e)
a)本邦ではBMI≧25が肥満と定義づけられる。これは人間ドックや健康診断の受診者15万人以上を対象とした疫学調査で結論づけられた指標である。
b) 肥満と肥満症の違いは、肥満に関連し、減量を要する健康障害があるかどうかである。従って、BMIの数値のみで肥満“症”とは診断できない。この点は高度肥満と高度肥満症においても同様である。
c)ウエスト周囲長において、男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば内臓脂肪の蓄積が疑われる。その後、CTで内臓脂肪面積が100cm2以上であれば、内臓脂肪型肥満と判定される。このウエスト周囲長は本邦と欧米とで測定法が異なり、本邦では臍レベルで計測する。
d)肥満症の減量目標は、現体重の3%である。2006年版ガイドラインからの変更点の一つであり、かつては5%が目標とされていたが、体重が1%減るだけでも多くの臨床諸指標が改善することが明らかになったことから、目標値が緩和されて3%となった。
e)文章通り。高度肥満症の減量目標は、現体重の5~10%である。ガイドライン上、肥満症と高度肥満症はBMI35以上か否かで区別されるが、肥満症と高度肥満症では病態が異なり、治療方針も変わるため別々の疾患として扱うことになる。
b) 肥満と肥満症の違いは、肥満に関連し、減量を要する健康障害があるかどうかである。従って、BMIの数値のみで肥満“症”とは診断できない。この点は高度肥満と高度肥満症においても同様である。
c)ウエスト周囲長において、男性で85cm以上、女性で90cm以上であれば内臓脂肪の蓄積が疑われる。その後、CTで内臓脂肪面積が100cm2以上であれば、内臓脂肪型肥満と判定される。このウエスト周囲長は本邦と欧米とで測定法が異なり、本邦では臍レベルで計測する。
d)肥満症の減量目標は、現体重の3%である。2006年版ガイドラインからの変更点の一つであり、かつては5%が目標とされていたが、体重が1%減るだけでも多くの臨床諸指標が改善することが明らかになったことから、目標値が緩和されて3%となった。
e)文章通り。高度肥満症の減量目標は、現体重の5~10%である。ガイドライン上、肥満症と高度肥満症はBMI35以上か否かで区別されるが、肥満症と高度肥満症では病態が異なり、治療方針も変わるため別々の疾患として扱うことになる。
問2. 肥満に起因ないし関連し、減量を要する健康障害としてあてはまらないものをえらべ。
a) 難聴
b) 月経異常
c) 膝の変形性関節症
d) 手指の変形性関節症
e) 腎疾患
解答を読む解答 a)
肥満関連の健康障害は以下の11項目。難聴は含まれていない。特に腎疾患は2016年に新たに組み込まれた内容であるほか、脂肪肝も正式には非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と記載されるようになった。
1 | 耐糖能異常(2型糖尿病など) |
2 | 脂質異常症 |
3 | 高血圧 |
4 | 高尿酸血症・痛風 |
5 | 冠動脈疾患 |
6 | 脳梗塞、一過性脳虚血発作 |
7 | 脂肪肝(非アルコール性脂肪性肝疾患など) |
8 | 月経異常、不妊 |
9 | 睡眠時無呼吸症候群、肥満低換気症候群 |
10 | 変形性関節症(膝、股関節、脊椎、手指) |
11 | 肥満関連腎臓病 |
問3. 肥満症への食事療法として適切なものを二つえらべ。
a) 糖質80%
b) タンパク質20%
c) タンパク質 標準体重1kgあたり1g
d) 脂質10%
e) 摂取エネルギー 1日あたり35kcal/kg/体重
解答を読む解答 b)、c)
a)正しくは糖質50-60% b)正しい。タンパク質15-20% c)正しい。タンパク質 標準体重1kgあたり1g d)正しくは脂質20-25% e)正しくは摂取エネルギー 1日あたり25kcal/kg/体重 エネルギー制限を行う場合、蛋白摂取量が少ないと体蛋白崩壊を起こすため、蛋白摂取量は十分に確保する必要がある。
問4. 肥満による健康障害が認められる症例への外科療法に関して、保険診療上の適応となりうるものを二つえらべ。
a) 80歳の高度肥満症症例
b) 3か月以上の内科治療で改善が見られない高度肥満症症例
c) BMI≧32の糖尿病合併症例
d) 開腹手術
e) 腹腔鏡下スリーブ状胃切除術
解答を読む解答 c)、e)
本邦では、18~65歳の原発性肥満で、6か月以上の内科治療で改善が見られないBMI35以上の高度肥満症が対象となる。糖尿病などの代謝障害があれば、BMI≧32の場合でも手術の適応となる。