問1.胆石症の疫学について正しいものをえらべ。
a) 胆嚢結石、肝内結石とも男性よりも女性に多い。
b) 非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)患者では胆石の保有率が低い。
c) 喫煙は胆石発生のリスクファクターである。
d) 低カロリーダイエットは胆石発生のリスクファクターである。
e) ヘリコバクター属菌は胆嚢結石形成に大きく関与している。
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解答 d)
a) 女性より男性に多い。
b) NAFLDでは胆石の保有率が高い。他に脂質異常症でも同様である。
c) 胆石症の発生への影響は否定的とされている。
d) 文章のとおり。胆汁に含まれている粘液糖蛋白量の増加で、コレステロールの結晶が析出化されやすくなること、および脂肪摂取量が減り、胆嚢収縮機能や腸管機能が低下することが理由として挙げられている。
e) 一部の報告では関与が示唆されているが、明確に結論づけられたものはなく、ヘリコバクター属菌と胆石症との関連性は低いと考えられている。
a) 女性より男性に多い。
b) NAFLDでは胆石の保有率が高い。他に脂質異常症でも同様である。
c) 胆石症の発生への影響は否定的とされている。
d) 文章のとおり。胆汁に含まれている粘液糖蛋白量の増加で、コレステロールの結晶が析出化されやすくなること、および脂肪摂取量が減り、胆嚢収縮機能や腸管機能が低下することが理由として挙げられている。
e) 一部の報告では関与が示唆されているが、明確に結論づけられたものはなく、ヘリコバクター属菌と胆石症との関連性は低いと考えられている。
問2.胆石症の代表的なリスクファクターとして合致しないものをえらべ。
a) 50歳代
b) 女性
c) 肥満
d) アジア人
e) 多産・経産婦
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解答 d)
有名な5F、すなわちForty(50歳代)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fecund・Fertile(多産・経産婦)を問う問題である。
ただし、前述のとおり近年の本邦においては男性で保有率が高くなっている。
そのほか、AIDSや回虫症感染もリスクとして覚えておきたい。
有名な5F、すなわちForty(50歳代)、Female(女性)、Fatty(肥満)、Fair(白人)、Fecund・Fertile(多産・経産婦)を問う問題である。
ただし、前述のとおり近年の本邦においては男性で保有率が高くなっている。
そのほか、AIDSや回虫症感染もリスクとして覚えておきたい。
問3. 胆嚢結石を促進させうる薬剤として、可能性が低いものをえらべ。
a) プロゲステロン
b) フィブラート
c) スタチン
d) エストロゲン
e) セフトリアキソン
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解答 c)
a)、b)はACAT(アセチルCo-Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ)活性を阻害して結石が促進される。
c)のスタチンは胆石の罹患率を下げることが報告されている
d)のエストロゲンは肝臓のリポプロテイン受容体を増加させ、結石が促進する。
e)のセフトリアキソンは胆汁中のカルシウム塩沈殿を促進させ、結石形成を助長させるとされている。
a)、b)はACAT(アセチルCo-Aコレステロールアシルトランスフェラーゼ)活性を阻害して結石が促進される。
c)のスタチンは胆石の罹患率を下げることが報告されている
d)のエストロゲンは肝臓のリポプロテイン受容体を増加させ、結石が促進する。
e)のセフトリアキソンは胆汁中のカルシウム塩沈殿を促進させ、結石形成を助長させるとされている。
問4. ビリルビンカルシウム石の原因となるものを二つえらべ。
a) Caroli症候群
b) スタチンの中止
c) 胆道感染
d) 妊娠
e) 遺伝性球状赤血球症
f) クローン病
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解答 a)、c)
肝内・総胆管結石は胆道感染を伴うのが普通であるため、ビリルビンカルシウム石であることが多い。
他のb)、d)はコレステロール石の誘因(感染もコレステロール石の形成に関与しているとする報告もある)。
一方、黒色石は、e)のような溶血性貧血(サラセミアや鎌状赤血球症、人工弁置換後)や、f)のような非抱合型ビリルビンの病的腸肝循環(ほかに回盲部切除など)を原因とすることが多い。ペーパーテスト、たとえば国家試験ではヤマ場のひとつだが、そのぶん「見たことある問題だが、どれが答だっけ?」となると、正答を外したときの痛手が大きい。
肝内・総胆管結石は胆道感染を伴うのが普通であるため、ビリルビンカルシウム石であることが多い。
他のb)、d)はコレステロール石の誘因(感染もコレステロール石の形成に関与しているとする報告もある)。
一方、黒色石は、e)のような溶血性貧血(サラセミアや鎌状赤血球症、人工弁置換後)や、f)のような非抱合型ビリルビンの病的腸肝循環(ほかに回盲部切除など)を原因とすることが多い。ペーパーテスト、たとえば国家試験ではヤマ場のひとつだが、そのぶん「見たことある問題だが、どれが答だっけ?」となると、正答を外したときの痛手が大きい。
問5. 無症状の胆石を有する症例が重篤化する年間発生率は?
a) 50%
b) 20%
c) 10%
d) 2%
e) 0.2%
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解答 e)
無症状胆石の年間の転帰については、軽い症状が2%、重篤な症状が0.2%前後とされる。
98%以上が無症状のままで経過することを考えると、胆石があるからといってルーチンで胆嚢摘出を行うのはメリットが少ないため、治療方針の原則は1年に1回の腹部エコー検査での経過観察である。不安感が強く、無症状でも手術を希望される症例に対しては、この転帰のパーセンテージを呈示しつつ、その他のリスクファクターとかんがみて冷静に考えてもらうようお話する方がよいだろう。
なお、胆嚢結石保有率が高いと胆嚢癌合併率が高いとされているが、その因果関係は未解明であり、2019年時点で「胆嚢結石が胆嚢癌の有力なリスクファクターである」という強力なエビデンスはない。その一方で、肝内結石症は肝内胆管癌のリスクファクターとされており、早期の専門医へのコンサルトが望ましい。
無症状胆石の年間の転帰については、軽い症状が2%、重篤な症状が0.2%前後とされる。
98%以上が無症状のままで経過することを考えると、胆石があるからといってルーチンで胆嚢摘出を行うのはメリットが少ないため、治療方針の原則は1年に1回の腹部エコー検査での経過観察である。不安感が強く、無症状でも手術を希望される症例に対しては、この転帰のパーセンテージを呈示しつつ、その他のリスクファクターとかんがみて冷静に考えてもらうようお話する方がよいだろう。
なお、胆嚢結石保有率が高いと胆嚢癌合併率が高いとされているが、その因果関係は未解明であり、2019年時点で「胆嚢結石が胆嚢癌の有力なリスクファクターである」という強力なエビデンスはない。その一方で、肝内結石症は肝内胆管癌のリスクファクターとされており、早期の専門医へのコンサルトが望ましい。
問6. 急性無石胆嚢炎の原因として考えにくいものはどれか。
a) 脱水
b) 長期の経腸栄養
c) 胃切除術後
d) 胆嚢頚部捻転
e) EBウイルス感染
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解答 b)
正しくは、長期の経『静』脈栄養。胆嚢収縮能低下による胆汁過濃縮が原因となる。
正しくは、長期の経『静』脈栄養。胆嚢収縮能低下による胆汁過濃縮が原因となる。
問7. 急性胆管炎の起炎菌として一般的ではないものを二つえらべ。
a) Fusobacterium
b) Escherichia coli
c) Klebsiella
d) Clostridium
e) Staphylococcus aureus
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解答 a)、e)
選択肢のa)は肺膿瘍、e)は感染性心内膜炎で臨床上問題となることが多い。
選択肢のa)は肺膿瘍、e)は感染性心内膜炎で臨床上問題となることが多い。