問1. 冠動脈疾患予防からみたLDLコレステロールの管理目標設定において、正しいものを二つえらべ。
a) 冠動脈疾患の既往が無く、非心原性脳梗塞の既往がある症例は高リスク群である。
b) 冠動脈疾患の既往が無く、慢性膵炎の既往がある症例は高リスク群である。
c) 冠動脈疾患の既往が無く、喫煙中の症例は高リスク群である。
d) 吹田スコアで40点以下の場合は、10年間の予測冠動脈疾患発症リスクは2%未満である。
e) 吹田スコアで56点以上の場合は、10年間の予測冠動脈疾患発症リスクは5%以上である。
解答を読む正答 a)、d
a) 文章通り。
b) 慢性膵炎ではなく慢性腎不全の症例ならば高リスク群である。他にも糖尿病、末梢動脈疾患の既往があれば高リスク群とされる。
c) 上記b)参照。
d) 吹田スコアで40点以下の場合は、10年間の予測冠動脈疾患発症リスクは2%未満である。一方で56点以上の場合は、9%以上である。
e) 上記d)参照。
問2. 吹田スコアに当てはまらないものを二つえらべ。
a) HDLコレステロール値
b) 中性脂肪値
c) 心電図異常
d) 耐糖能異常
e) 早発性冠動脈疾患の家族歴
解答を読む正答 b)、c) 吹田スコアは、以下の8つの危険因子からスコアリングする。1)年齢、2)性別、3)喫煙の有無、4)血圧、5)HDLコレステロール値、6)LDLコレステロール値、7)耐糖能異常の有無、8)早発性冠動脈疾患の家族歴の有無。
問3. リスク区分別資質管理目標値について、誤っているものを一つえらべ。
a) 一次予防において、低リスク群のLDLコレステロール値は160mg/dL未満を目標とする。
b) 一次予防において、低リスク群のLDLコレステロール値180mg/dL以上の場合は薬物療法を考慮する。
c) 一次予防において、高リスク群のLDLコレステロール値は100mg/dL未満を目標とする。
d) 二次予防において、冠動脈疾患の既往がある場合には、LDLコレステロール値は100mg/dL未満を目標とする。
e) 一次予防においてLDLコレステロール値の低下率が20-30%であれば目標値となりうる。
解答を読む正答 c) 一次予防において、高リスク群のLDLコレステロール値の目標値は120mg/dL未満である。他にnon-HCLコレステロール値の目標値も設定されているが、まずLDLコレステロール値の目標達成が第一である。
d)に関しては、2017年のガイドラインで「家族性高コレステロール血症と急性冠症候群の合併時には、70mg/dL未満を目標とすることを考慮する」とある。”冠動脈疾患の既往がある場合は”という記述や「考慮する」という書き方自体が曖昧であり、次の改訂までに明確な記述となることが期待される(循環器医にとっては、70mg/dL未満を目標とすることが常識になっているが)。
LDL低下率も脂質管理の目標値となりうる。選択肢e)は文章の通りであり、さらに二次予防においてはLDLコレステロール値の低下率が50%以上であれば目標値となりうる点も覚えておきたい。
問4. 成人FHヘテロ接合体治療について、正しいものを二つえらべ。
a) 治療に際して、まず生活習慣の改善を指導する。
b) 通常量のスタチンを使用して効果が不十分な場合には、PCSK9阻害薬の使用に移行する。
c) PCSK9阻害薬で効果不十分な場合はLDLアフェレーシスを行う。
d) PCSK9阻害薬とLDLアフェレーシスを併用する場合、PCSK9阻害薬はアフェレーシスの前に投与しなければならない。
e) PCSK9阻害薬とプロブコールの併用は禁忌である。
解答を読む正答 a)、c) 近年、PCSK9阻害薬が臨床応用され話題となっている。改訂版のガイドラインにも記載され、今後も使用状況が拡大していくものと推定される。 FHヘテロ接合体患者にPCSK9阻害薬を使用するにあたり、最大投与量のスタチンでもLDLコレステロール値が是正されない点がポイントの一つである。また、PCSK9阻害薬はアフェレーシスによって除去されてしまうため、アフェレーシスの後に投与する必要がある。
※本問はユーザー様からご指摘をいただき、2020年3月14日に修正しました。