問1 GRACEスコアの指標として誤っているものをえらべ。 a) 年齢 b) 心拍数 c) 拡張期血圧 d) 初期血清クレアチニン e) Killip分類 解答を読む
解答 c) GRACEスコアは8 個のリスクファクターとして、①年齢 ②心拍数 ③収縮期血圧 ④初期血清クレアチニン ⑤Killip 分類 ⑥心停止による入院 ⑦心筋マーカーの上昇 ⑧ST部分の偏位、が挙げられる。
問2 PURSUITリスクスコアの指標として誤っているものを二つえらべ。 a) 年齢 b) 性別 c) 過去半年間の最悪のCCS分類 d) 心不全徴候 e) 心エコーでの壁運動異常 解答を読む
解答 c)、e) PURSUITリスクスコアは5個のリスクファクターとして、①年齢、②性別、③過去6週間の最悪のCCS分類、④心不全徴候、⑤心電図におけるST変化に重み付けを行って、30日間のイベント発生率を予測するしくみとしている。
問3 非ST上昇型心筋梗塞症(NSTEMI)への初期保存的治療について正しいものを二つえらべ。 a) β遮断薬よりもカルシウム拮抗薬を優先して投与する。 b) 安静時の心拍数は70bpm未満、収縮期血圧は140mmHg未満を目指す。 c) 動脈血酸素飽和度が99%の症例に酸素投与を追加する。 d) 血栓溶解療法が推奨される。 e) 硝酸薬の投与方法として、貼布に関しては言及がない。 解答を読む
解答 b)、e) a) β遮断薬を優先する。β遮断薬が使用できない場合にはカルシウム拮抗薬を検討する(classⅠ)。 b) 文面通り。 c) 動脈血酸素飽和度が94%未満になったら酸素投与を行う。 d) NSTEMIへの血栓溶解療法は推奨されない。 e) 文面通り。ガイドラインの文面上、静脈投与、舌下、噴霧が記載されている。しかし実臨床の場においては、フランドルテープなどの貼付剤は、"刺さない点滴"の感覚で使用しやすい。血圧が下がった場合、剥がせば効果が消失する点もメリットの一つである。慢性期管理の場合になるが、内服困難な症例への貼付剤の使い勝手の良さは、介護者からも好評のようである。
問4 急性冠症候群(ACS)への慢性期薬物治療について正しいものをえらべ。 a) ベアメタルステントを留置し、かつ出血リスクの強い例での抗血小板薬二剤併用療法(DAPT)推奨期間は2週間以上である。 b) β遮断薬は不要である。 c) ACE-IやARBは全例に使用する。 d) アルドステロン受容体拮抗薬は全例に使用する。 e) 安定した状態が続いている例であっても、長時間作用型硝酸薬は永続的に投与する。 解答を読む
解答 a) a) 最低でも1か月間はDAPTの継続が望ましいが、出血リスクが強い場合はやむなく2週間でも可である。 b) 禁忌が無い限り、全例にβ遮断薬を追加する。 c) 心不全合併例や収縮能低下例、高血圧症や糖尿病合併例に使用する。 d) 高度腎不全が無く、十分な量のACE-Iを投与されている例に使用する。つまり、血圧に余裕があるようなら、アルドステロン受容体拮抗薬の追加よりもACE-Iの増量が優先されるということ。 e) 虚血症状や心不全の再燃が無いにも関わらず、漫然と長時間作用型硝酸薬を続けることはclassⅢである。 ※DAPTの時期については様々な知見が収集されるとともに、ステントも次々と新型が登場していることから、短縮の傾向になりつつある。
問5 ACSへの非観血的検査について誤っているものを二つえらべ。 a) Triple rule out目的で心電図は有用ではない。 b) 左室壁運動スコア(WMSI) が1.7を超える症例では心筋灌流異常が20%以上である。 c) 救急室での心筋コントラストエコー法は、胸痛患者においてバイオマーカーの異常が検出されるより早く予後を推定できる。 d) 心エコーではdiastolic stunningは評価できない。 e) NSTEMIや不安定狭心症においてBMIPPイメージングは、心筋血流イメージングよりも診断精度が優れている。 解答を読む
解答 a)、d) a) Triple rule outとは、ACS、肺塞栓、大動脈解離のことである。Cabrera sequenceにすることで、四肢誘導が左手→右足の流れに揃い、波形の継時的変化がよりわかりやすくなる。 b) 左室壁運動スコア(WMSI)とは、アメリカ心エコー図学会(ASE)で提唱している左室16分画を用い、それぞれの分画ごとの壁運動をスコア化(1:Normal、2:Hypokinesis、3:Akinesis、4:Dyskinesis、5:Aneurysm)し、半定量的に壁運動評価を行うものである。観察可能であった分画の総点数を観察可能であった分画数で除した数値をWMSIとする。 c) 文面通り。 d) diastolic stunningとは、一過性の心筋虚血後に収縮運動が回復した後も持続する拡張機能障害のことを指す。組織ドプラやスペックルトラッキング法で虚血メモリーを検出できるようになった。 e) 自然再開通や冠攣縮の寛解、治療などにより早期の再灌流を得た場合、壊死は免れるも虚血性心筋脂肪酸代謝障害が残存しているためである。
問6 冠動脈CTでACS症例に見られる冠動脈プラークの特徴として誤っているものをえらべ。 a) Positive remodeling(陽性リモデリング) b) non-calcified plaques(非石灰化プラーク) c) spotty calcification(微小石灰化) d) high-attenuationプラークを伴うpositive remodelingを示す冠動脈病変を有する症例が、ACS発症の高リスク症例である e) 陰性的中率が高く、冠動脈CTで狭窄がなければ有意狭窄はほぼ無いと考えてよい。 解答を読む
解答 d) low- attenuationプラークを伴う例である。