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問131 免疫グロブリン産生細胞を三つ挙げ、リンパ腫と骨髄腫の二つに分類せよ。
解答
Hodgkin病(リンパ腫)
非Hodgkin病(リンパ腫)
形質細胞骨髄腫(骨髄腫)
問132 形質細胞では、何が発達している?
解答
問133 骨髄腫がほかのリンパ腫と大きくちがう点を二つ挙げよ。
解答
ⅰ)骨破壊性
ⅱ)免疫グロブリンが沈殿する(単クローン性高γグロブリン血症)
問134 骨髄腫の腫瘍増殖に関わる物質は?
解答
問135 多発性骨髄腫でHb 10 g/dl以下なら臨床病期は?
解答
問136 多発性骨髄腫の臨床病期規定因子は?
解答
問137 M蛋白量とは?
解答
血中、または尿中L鎖(β
2ミクログロブリン)。
そもそもM蛋白とは、異常な免疫グロブリンのことを指す。
問138 多発性骨髄腫の原因薬剤といえば?
解答
問139 骨髄腫の臨床所見を三つ挙げよ。
解答
問140 なぜ、骨打ち抜き像punched out lesionが起きるのか?
解答
サイトカインIL-1が破骨細胞を活性化させるので(だから高カルシウム血症にもなる)。
問141 骨髄腫での腎障害の原因は?
解答
免疫グロブリンのL鎖でできたBence Jones蛋白が糸球体からろ過されて尿細管に沈着するから。
問142 Bence Jones蛋白を示唆する所見といえば?
解答
尿蛋白量と尿蛋白定性試験の成績が乖離することで、Bence Jones蛋白の潜在が示唆される。
問143 過粘稠度症候群とは?
解答
M蛋白、つまり血漿蛋白が増加して血液がドロドロになる症候群。
問144 過粘稠度症候群による全身症状を三つ挙げよ。
解答
◇網膜静脈がソーセージ様に怒張する。
◇血管抵抗が増し、血圧が上がる。
◇血小板や凝固因子も補足されるので、出血傾向となる。
問145 過粘稠度症候群を呈した際の治療法は?
解答
IgM除去のため、プラズマフェレーシスをおこなう。
問146 骨髄腫では何の脂質が低下しやすいか。
解答
問147 骨髄腫では、赤血球像がどのような形態を示すか。
解答
M蛋白によって赤血球同士数珠状となる連銭形成を示す。
問148 骨髄腫に対する従来の第一選択療法は?
解答
MP療法(メルファラン、プレドニゾロン)
※メルファランはアルキル化薬のひとつで、シクロホスファミドと同様の薬剤。
問149 骨髄腫への新たな治療薬として期待されているのは? 機序とともに二つ挙げよ。
解答
ボルテゾミブ:プロテアソーム阻害薬で、細胞のアポトーシスを誘導する。
サリドマイド:血管新生抑制効果。なお、母体に投与してしまうと、胎児の四肢欠損を生じる。
問150 MGUSとは?
解答
骨髄腫の基準を満たさない、病勢の軽い形質細胞腫瘍性疾患。経過観察対象。
問151 骨髄腫と原発性マクログロブリン血症のちがいを二つ挙げよ。
解答
◇骨髄腫の発症部位は骨髄だが、マクログロブリン血症の発症部位はリンパ組織である。
◇マクログロブリン血症の方が過粘稠度症候群の発生率が高い。
問152 なぜマクログロブリン血症の方が過粘稠度症候群の発生率が高いのか。
解答
増殖するM蛋白がマクログロブリン血症ではIgMなので。IgMは五量体であり、分子量が大きいため、粘稠度をあげやすい。一方、骨髄腫のM蛋白はIgGなどの分子量が小さいものばかりである。
※マクログロブリン血症のキーワードは4Mと覚える。
Macro
IgM
Man(高齢男性)
Monoclonal
問153 組織球症(histiocytosis)を二つに大別すると?
解答
ⅰ)Langerhans cell histiocytosis:LCH-ランゲルハンス細胞組織球症-
ⅱ)血球貪食リンパ球症:HLH
問154 LCHはどんな疾患か?
解答
皮膚にしかないはずのLangerhans細胞が臓器に浸潤・増殖する疾患
問155 LCHはどこに浸潤しやすいか?
解答
80%:骨→骨打ち抜き像になる。
50%:皮膚→皮疹・丘疹になる。
問156 LCHは1985年までhistiocytosis Xと呼ばれていたが、histiocytosis Xの古典的臨床像にのっとって三つに分類すると?
解答
◇Letterer-Siwe病(レッテラー・ズィーベ病):広範な臓器浸潤。乳幼児発症で、この疾患のみ予後不良。
◇Hand-Schüller-Christian病:溶骨・尿崩症・眼球突出
◇好酸球性肉芽腫:多発性溶骨
問157 HLHはどんな疾患か?
解答
問158 HLHを二つに分類すると?
解答
ⅰ)ウイルス関連血球貪食症候群
ⅱ)リンパ腫関連血球貪食症候群
問159 ウイルス関連血球貪食症候群の原因ウイルスといえば?
解答
問160 リンパ腫関連血球貪食症候群で特徴的な検査値は?
解答
血清フェリチンの異常高値
※ただし、特異的というわけではなく、Still病などでもフェリチンは高値となる。逆に、フェリチンが下がるのは鉄欠乏性貧血。
問161 M/E比とはなにか?
解答
Myeloid cell(骨髄系細胞)/erythroid cell(赤芽球系細胞)の比率のこと。
問162 M/E比増加で何を考える?
解答
問163 M/E比低下で何を考える?
解答
問164 輸血後GVHDのtriasは?
解答
問165 輸血後GVHDが減ったのはなぜ?
解答
問166 輸血の副作用といえば?
解答
問167 成分輸血において、血小板輸血が禁忌なのは? 二つ挙げよ。
解答
問168 輸血前に、血液型以外で必ず必要な採血検査とは?
解答
問169 MALTとは?
解答
問170 MALTの例を挙げよ。
解答
胃、扁桃、小腸Peyer板(パイエル板)、気道のリンパ組織
問171 MALTが普通のリンパ節と異なる特徴を四つ挙げよ。
解答
- 輸入リンパ管がない。
- MALTを覆う粘膜が輸入リンパ管のはたらきをする。
- 被膜に覆われていない。
- MALTのB細胞はIgAを分泌する。
問172 小球性低色素性貧血を四つ挙げよ。
解答
問173 貧血でもっとも考えるべき合併症は?
解答
問174 鉄が欠乏する際に、体内ではどのような順番で鉄が減っていくか?
解答
問175 貯蔵鉄の指標といえば?
解答
問176 血清鉄とは?
解答
問177 組織鉄の欠乏まできたした鉄欠乏性貧血の最終形態をなんという?
解答
問178 Plummer-Vinsonしょうの症状を五つ挙げよ。
解答
- 匙状爪
- 舌炎
- 口内炎
- 嚥下障害
- pica(異食症)
問179 Plummer-Vinson症候群と関連性の高い悪性腫瘍といえば?
解答
問180 フェリチンとヘモジデリンはどうちがう?
解答
両方とも貯蔵鉄だが、フェリチンはアポフェリチン蛋白に包まれて保存される。ヘモジデリンはフェリチンに糖や脂質が結合して病的に変性したもの。
問181 人体にはどのくらいの鉄が存在するか?
解答
正常で3-4g
(一日1mg喪失し、1mg補充している)
問182 体内の鉄のうち、ヘム鉄として利用されているのはどのくらい?
解答
問183 鉄を吸収する過程を述べよ。
解答
ⅰ)胃酸でFe3+結合型をFe3+遊離型にする。
ⅱ)ビタミンCなどの還元物質でFe2+遊離型にする。
ⅲ)十二指腸から空腸上部で吸収する。
※食物中のFe3+を、吸収型のFe2+にして吸収する。
問184 血清鉄が増加している場合は、なにを考えるか。二つ挙げよ。
解答
問185 鉄の利用障害をきたす疾患を三つ挙げよ。
解答
問186 無効造血をきたす疾患を四つ挙げよ。
解答
巨赤芽球性貧血、MDS、鉄芽球性貧血、サラセミア
※鉄芽球性貧血のうち、後天性のタイプではMDSの一種になり、大球性貧血を呈する。
問187 TIBC、UIBCm血清鉄の関係を図示せよ。
解答
TIBC=UIBC+血清鉄
※TIBC:総鉄結合能=トランスフェリン量
※UIBC:不飽和鉄結合能=Feと結合していないトランスフェリン量
※血清鉄:Feと結合しているトランスフェリン量
問188 鉄欠乏性貧血での血清鉄、トランスフェリン合成能はどうなっているか。
解答
鉄が足りないので→血清鉄は減少
少しでも鉄をかき集めようとして→トランスフェリン合成能亢進(TIBC、UIBCとも上昇)
問189 鉄の体内動態をみる方法は?
解答
59Feを静注して、このマーキングされた鉄が、いつ骨髄にとりこまれるか、いつ赤血球として血中に再登場するかを観測する。
問190 PIDT1/2とは?
解答
血清鉄消失率のこと。静注された59Feの投与量が1/2になるまでにかかる時間をみる。正常値は1-2時間。
問191 PIDT1/2の短縮、および延長は何を意味するか。
解答
短縮:赤芽球が腹ペコで、Fe取り込みが盛ん。
延長:赤芽球のFe取り込みがにぶい。→赤血球の産生能が低下している。
問192 UIBC(不飽和鉄結合能)が高値となる疾患は?
解答
問193 鉄以外の金属元素で、過少になることで貧血をおこすものは?
解答
問194 未熟児貧血の本態は?
解答
問195 %RCUとは?
解答
赤血球鉄利用率のこと。造血能を反映している。具体的には、59Feを投与してから一週間ごろの循環赤血球中の59Feの量を、最初の投与量で割ったもの。
問196 造血能が亢進しているにもかかわらず、%RCUが低い場合は、何を意味するか。
解答
造血したつもりが血中に赤血球として出現してきていない(骨髄で破壊)。つまり、無効造血を意味している。
問197 無効造血をきたす疾患を三つ挙げよ。
解答
鉄芽球性貧血(一応、MDSの一種だが独立した疾患として覚えること)
巨赤芽球性貧血
MDS
問198 ヘモグロビン合成にかかわる物質を挙げよ。
解答
ヘモグロビンは、ヘムとグロビンにわかれる。
ヘムは、Fe2+とプロトポルフィリンにわかれる。
グロビンは、α鎖二個、β鎖二個で構成されている。
問199 メトヘモグロビンとは?
解答
Fe2+が酸化されてFe3+となったもの。これは酸素と結合できない。
問200 メトヘモグロビン血症とは?
解答
メトヘモグロビンが全ヘモグロビンの1%を超えた状態をメトヘモグロビン血症といい、チアノーゼを呈する。代償的に多血症になる。
問201 メトヘモグロビン血症をきたす化学物質を二つ挙げよ。
解答
問202 一酸化炭素中毒でチアノーゼがみられないのはなぜ?
解答
CO-Hbが増えて、還元Hbの上昇がおきないから。
問203 酸素解離曲線とは、なにを現しているか。
解答
問204 プロトポルフィリンを簡単に説明すると?
解答
問205 鉄欠乏性貧血では、赤血球中の遊離プロトポルフィリンはどうなる?
解答
プロトポルフィリンは鉄と結合してやっとヘムになることができる。したがって、鉄が少ないと赤血球の内部でヒマを持て余し、遊離プロトポルフィリンが増える。
問206 鉄欠乏性貧血の診療を行う上で、必ず精査するものは?
解答
問207 鉄欠乏性貧血患者に経口鉄剤を投与して、どのくらいで変化がみられるか。
解答
約一週間で網状赤血球、ヘモグロビンが増加してくる。
引き続き、月単位で鉄剤を投与する。
問208 鉄芽球性貧血の原因を三つ挙げよ。
解答
問209 なぜアルコールが鉄芽球性貧血をもたらすか。
解答
ピリドキシン(ビタミンB6)の活性化を阻害するから。
問210 ピリドキシンはヘム合成にどんな作用をもたらすか。
解答
プロトポルフィリンが合成される経路で補酵素となる。
問211 鉄芽球性貧血の二つの病態ルートを述べよ。
解答
- ピリドキシン活性障害
- ヘム合成酵素異常(プロトポルフィリンにFe2+をはめられない)
問212 ヘム合成酵素はどこにある?
解答
問213 鉄芽球性貧血の鉄代謝検査値はどうなるか。
解答
- 血清鉄亢進:鉄利用障害だから。なので、トランスフェリン産生は低下し、UIBC、TIBCも低下する(TIBCは横ばいの場合も多い)。
- 無効造血:PIDT1/2短縮と%RCU低下
問214 鉄芽球性貧血の治療は?
解答
- ピリドキシン(ビタミンB6)の補充
- ピリドキシン無効時は輸血
- 輸血時、ヘモクロマトーシス対策でデスフェロキサミン
問215 サラセミアとは?
解答
問216 サラセミアの遺伝学的特徴は?
解答
問217 サラセミア患者の多い地域は?
解答
問218 サラセミアでは、血清鉄はどうなる?
解答
問219 サラセミアの末梢血所見の特徴を三つ挙げよ。
解答
◇小球性低色素性貧血
◇標的赤血球の出現(→溶血)
◇赤血球浸透圧抵抗の増強
問220 サラセミアで増えるヘモグロビンといえば?
解答
問221 サラセミアの治療は?
解答
輸血
摘脾(←血管外溶結による脾腫に対して)
鉄キレート剤
問222 サラセミアへの禁忌薬剤は?
解答
問223 慢性炎症で小球性貧血を呈するのはなぜ?
解答
問224 トランスフェリン合成ができなくなると、鉄代謝はどうなる?
解答
TIBCとUIBC、そして血清鉄が低下する。
鉄が余るので、フェリチンは増える。
※だから、慢性炎症でフェリチンが亢進する。
問225 慢性炎症の代表といえば?
解答
問226 正球性正色素性貧血を呈する疾患を五つ挙げよ。
解答
溶血性貧血
再生不良性貧血
赤芽球癆
出血性貧血
腎性貧血
問227 溶血性貧血にて、血管内外に関わらず、両方で認められる所見を四つ挙げよ。
解答
血清間接ビリルビン増加
血清LDH増加
血清ハプトグロビン消耗性減少
尿中ウロビリノゲン増加
問228 血管内溶血のみにみられる所見を二つ挙げよ。
解答
ヘモグロビン尿
ヘモジデリン尿
※逆にいえば、「血色素尿症」とは、この言葉だけで血管内溶血を意味しているといえる。
問229 ヘモジデリン尿とヘモグロビン尿のちがいは?
解答
もともと尿細管上皮細胞には遊離Hbをとりかこむ能力がある。糸球体をすり抜けてきたHbをとりこんだ上皮細胞が剥離して、鉄をかかえたまま尿中に排泄されたものをヘモジデリン尿という。尿細管上皮細胞のHb再吸収能でもすくいきれなかったぶんのHbがまるまる尿中に排泄されたものをヘモグロビン尿という。
問230 溶血性貧血の全般で%RCUはどうなる?
解答
赤血球の寿命が短いので低下する。無効造血ではない。
問231 血管外溶血をきたす疾患を四つ挙げよ。
解答
自己免疫性溶血性貧血:AIHA(温式)
遺伝性球状赤血球症:HS
PK欠損症
サラセミア
問232 AIHAの疫学上の特徴は?
解答
問233 AIHAでいう”温式”や、”冷式”とは?
解答
自己抗体の最適温度のこと。抗原となる自己赤血球ともっとも結合しやすい温度を指す。
問234 広義のAIHAを最適温度と抗体ごとに三つに分類せよ。
解答
温式AIHA→37℃ IgG
冷式AIHA→0-4℃
発作性寒冷血色素尿症:IgG、
寒冷凝集素症:IgM
問235 温式AIHAの病態は?
解答
自己抗体のIgGが結合した赤血球は脾臓で処理される。
問236 温式AIHAは何に続発する? 三つ挙げよ。
解答
- SLE
- リンパ腫
- Evans症候群(AIHA+ITP)
問237 発作性寒冷血色素尿症の自己抗体をなんという?
解答
問238 発作性寒冷血色素尿症の病態は?
解答
低温下で赤血球に自己抗体が結合する際に、補体も一緒に結合する。この状態のまま常温環境下に行くと補体が活性化し、血管内溶血をきたす。
問239 発作性寒冷血色素尿症は何に続発する?
解答
問240 寒冷凝集素症の重要な点は?
解答
自己抗体がIgMなので赤血球が凝集し、小血管を閉塞させる。ちなみに血管内外の両方で溶血がみられる。
問241 寒冷凝集素症は何に続発する?
解答
IgMの上昇する疾患。
たとえば、伝染性単核球症、マイコプラズマ肺炎、リンパ腫
問242 AIHAの検査といえば?
解答
問243 直接Coombsと間接Coombsのちがいは?
解答
直接:赤血球に結合している自己抗体の有無を調べる。
間接:赤血球にくっついていない浮いている自己抗体の有無を調べる。
問244 AIHAの治療でステロイドが有効なのは?
解答
問245 遺伝性球状赤血球症の遺伝形式は?
解答
問246 遺伝性球状赤血球症の病態は?
解答
赤血球膜を裏打ちする骨格蛋白に異常をきたしており、円板状の形を維持できず球状になっている。このため脾臓でつかまり血管外溶血をきたす。
解答
問247 遺伝性球状赤血球症の検査といえば? 二つ挙げよ。
- 食塩水を用いて赤血球浸透圧抵抗の減弱性をみる。
- 自己溶血試験で溶血が亢進し、グルコース添加で溶血が阻止される。
問248 自己溶血試験とは?
解答
遺伝性球状赤血球症では、膜透過性異常によるアンバランスをATPで修正している。そこで血液を長時間放置すると、ATPが枯渇し、溶血する。これが自己溶血試験である。グルコースを添加すると、ATPを補給できるので、溶血を阻止できる。
問249 遺伝性球状赤血球症の治療は?
解答
問250 脾摘の適応年齢は?
解答
五歳以上。免疫能低下によって肺炎球菌などの感染症が重症化するため。
問251 脾摘のときに胆嚢摘出を併行する場合があるのはなぜ?
解答
問252 遺伝性球状赤血球症の患者で、急速に貧血が進行する合併症を何というか。
解答
問253 急性赤芽球癆を引き起こすウイルスといえば?
解答
問254 発作性夜間血色素尿症はどこの障害か。
解答
造血幹細胞のアンカー蛋白遺伝子であるPIG-A遺伝子が後天的に障害される。この後天的変異をもった造血幹細胞が異常クローン性に増殖するために生じる。
問255 アンカー蛋白とは?
解答
赤血球の膜の上には補体の活性化を抑える酵素や蛋白が存在する。
これらを膜上につなぎとめているのがアンカー蛋白である。アンカー蛋白が欠損すると、鎧の留め具が外れるのと同じで、赤血球は補体から侵襲を受ける。
問256 早朝にワインカラー尿(夜間の血色素尿症)を呈するのはなぜ?
解答
寝ると低換気になり、アシドーシス化する。補体はアシドーシス化で顕著に活性化されるので、夜間に血管内溶血をきたし、早朝にヘモグロビン尿をもたらす。逆にいえば、アシドーシスになるとおきるので発作性とは限らないし、夜間にしかおきないわけでもない。
問257 血尿とヘモグロビン尿はどうちがう?
解答
血尿は尿路系での出血のこと。ヘモグロビン尿は血管内溶血によるもの。
問258 発作性夜間血色素尿症の赤血球表面マーカーの特徴を述べよ。
解答
問259 発作性夜間血色素尿症では、赤血球以外の血球はどうなる?
解答
顆粒球や血小板にも遺伝子的欠損があるので、汎血球減少になる。
問260 発作性夜間血色素尿症の三徴は?
解答
問261 発作性夜間血色素尿症では血小板も減少しているのに、なぜ血栓症の方も起きるのか。
解答
赤血球破壊によるADP放出で血小板が凝集するから。
問262 発作性夜間血色素尿症の検査といえば? 二つ挙げよ。
解答
問263 Ham試験とは?
解答
患者の赤血球と補体に、さらに塩酸を加えて酸性化させて溶血すれば陽性で、発作性夜間血色素尿症と診断できる。
問264 砂糖水試験とは?
解答
イオンの少ない溶液中では、赤血球は補体と結合しやすくなる。砂糖水を用いると血液と同じ浸透圧にも関わらずイオンの少ない溶液を作ることができるので、発作性夜間血色素尿症患者の赤血球は容易に溶血する。
問265 発作性夜間血色素尿症に対する血液検査を三つ挙げよ。
解答
汎血球減少
NAP score低下
赤血球アセチルコリンエステラーゼ活性低下
問266 なぜ発作性夜間血色素尿症でNAP scoreが低下するか。
解答
好中球のアンカー蛋白も欠損するため、好中球アンカー蛋白によってつなぎ止められていられるNAPも活性低下してしまうから。
問267 発作性夜間血色素尿症と再生不良性貧血、Fanconi貧血の鑑別点は?
解答
発作性夜間血色素尿症、再生不良性貧血、Fanconi貧血はいずれも汎血球減少を示す。
NAP score低下を示すのは発作性夜間血色素尿症である。
また、Fanconi貧血は皮膚の色素沈着、骨格異常がある。
問268 発作性夜間血色素尿症で特異的な症状といえば?
解答
問269 発作性夜間血色素尿症の治療法を三つ挙げよ。
解答
- 根治療法:造血幹細胞移植
- 溶血に対して:エクリズマブ(←トピックス!)
- 骨髄不全に対して:蛋白同化ホルモン
問270 発作性夜間血色素尿症への輸血の特徴を述べよ。
解答
洗浄赤血球輸血(補体除去済み赤血球)を用いる。が、多くは通常の輸血でも問題ない。
問271 発作性夜間血色素尿症の禁忌を三つ挙げよ。
解答
- 脾摘:血栓症を誘発。血管内溶血なので、もともと脾摘×
- 全血輸血
- 鉄剤:準禁忌。新しい赤血球が生まれ、補体感受性赤血球の産生亢進で溶血発作をかえって誘発する。専門医以外は控えるべき。
問272 発作性夜間血色素尿症の合併症を頻度とともに述べよ。
解答
再生不良性貧血(むしろ再生不良性貧血が先行)
発作性夜間血色素尿症患者の30-40%
問273 赤血球酵素異常症を二つ挙げよ。
解答
グルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)欠損症
ピルビン酸キナーゼ(PK)欠損法
問274 G6PD欠損症の遺伝子学的特徴は?
解答
問275 G6PDの役目は?
解答
NADPHを産生し、赤血球膜の酸化・溶血を防いでいる。
問276 NADPHが赤血球の酸化を防ぐ機序は?
解答
NADPHはH+を手放すことでグルタチオンという物質を還元型に変えることができる。還元型グルタチオンは赤血球の身代わりとして血中酸化物からの酸化作用を受ける。
問277 G6PD欠損症による急性溶血発作を引き起こす食べ物は?
解答
問278 PKとは?
解答
問279 PK欠損症を概説せよ。
解答
ATP不足なので膜の形態を維持できなくなり、脾臓でつかまって血管外溶血をきたす。
問280 薬剤による免疫性溶血性貧血といえば? 三つ挙げよ。
解答
キニジン系 → 血管内溶血
ペニシリン系 → 血管外溶血
α-メチルドパ系 → 血管外溶血。温式AIHAそっくり
問281 先天性再生不良性貧血といえば?
解答
問282 Fanconi貧血患者の身長は?
解答
問283 Fanconi貧血では、血球数はどうなる?
解答
問284 Fanconi貧血の特徴を六つ挙げよ。
解答
血清尿酸値低下
奇形
家族内発生
性器発育不全
皮膚色素沈着
骨格異常
問285 再生不良性貧血を誘発する薬剤を三つ挙げよ。
解答
抗がん剤
ベンゾール(ベンゼン)
クロラムフェニコール
問286 再生不良性貧血の白血球分画はどう変化する?
解答
問287 再生不良性貧血の鉄代謝を説明せよ。
解答
本来、造血に使われるはずの鉄がトランスフェリンと結合したままになるので、
- TIBC横ばい=UIBC低下+血清鉄上昇
- 血清フェリチン上昇
- PIDT1/2延長
- %RCU低下(造血に利用されないから)
問288 再生不良性貧血で骨髄低形成になったぶん、骨髄はどうなるか。
解答
問289 軽症~中等症の再生不良性貧血の治療は?
解答
蛋白同化ホルモン(アンドロゲン)療法で造血を刺激促進させる。
問290 重症の再生不良性貧血の治療は?
解答
免疫抑制療法(抗リンパ球グロブリン、抗胸腺細胞グロブリン、シクロスポリン)
骨髄移植(50歳以下、HLA合致例)
支持療法(G-CSF、エリスロポエチン、洗浄赤血球輸血)
問291 赤芽球癆とは?
解答
赤芽球系の前駆細胞レベルでの分化障害。再生不良性貧血の赤血球限定版。一言でいうと、血症鉄を浪費するもの。
問292 先天性赤芽球癆の別名は?
解答
問293 Diamond-Blackfan症候群の特徴は?
解答
問294 急性赤芽球癆といえば?
解答
問295 赤芽球癆と胸腺腫の関係は?
解答
赤芽球癆の半数が胸腺腫を合併する。
逆に、胸腺腫が赤芽球癆を合併する割合は5%。
問296 赤芽球癆の治療薬は?
解答
問297 巨赤芽球性貧血の本態は?
解答
ビタミンB12、葉酸欠乏によるDNA合成障害にもとづく、核の成熟障害。
MDS同様に大球性貧血を呈する。
問298 葉酸、ビタミンB12がDNA合成にどのように関わるのか説明せよ。
解答
DNAの四つの塩基のうち、チミンはピリミジンから合成される。このピリミジンをチミンにするのに必要なのが葉酸である。そして、葉酸を活性化させるのがビタミンB12である(ホモシステインをメチオニンにする経路のこと)。
問299 ビタミンB12欠乏を疑った際の負荷試験は?
解答
バリン負荷で尿中メチルマロン酸が増加する。
(メチルマロニルCoAをサクシニルCoAにするには、ビタミンB12が必要とされる。この経路が障害されるので、代わりにメチルマロニルCoA+バリン→尿中メチルマロン酸という経路が作動するようになる。)
問300 葉酸欠乏時の負荷試験は?
解答
ヒスチジン負荷で尿中FIGlu(ホルムイミノグルタミン酸)が増加する。
(FIGluをグルタミン酸にするには、葉酸が必要とされる。この経路が障害されることで、FIGluの材料であるヒスチジンを負荷するとFIGluは尿中に漏れ出る。)
問301 Howell-Jolly小体とは?
解答
核の遺残物が末梢血中の赤芽球にみられるもの。巨赤芽球性貧血や脾摘後にみられる封入体である。
問302 ビタミンB12の吸収過程は?
解答
ⅰ)胃酸でVit.B12が遊離
ⅱ)十二指腸でVit.B12がIF(胃内因子)と結合
ⅲ)IF-Vit.B12複合体を回腸で吸収
ⅳ)回腸粘膜上皮内でIFからVit.B12が分離
ⅴ)Vit.B12はトランスコバラミン蛋白と結合して血中に流れる、もしくは肝臓で蓄えられる。
※Vit.B12投与量のうち、1-2%を回腸が能動的に吸収するとされているが、99%は上記のごとく胃内因子の関与を要する。
問303 胃全摘術後、鉄欠乏性貧血と巨赤芽球性貧血はどちらが先に出現する?
解答
鉄欠乏性貧血(術後半年)。
一方、ビタミンB12欠乏による巨赤芽球性貧血は3-6年かかる。
問304 競合でビタミンB12を欠乏してしまう例を二つ挙げよ。
解答
Blind-loop症候群
広節裂頭条虫
※競合とは、生体側がビタミンB12を吸収する前に横取りされること。
問305 葉酸欠乏の原因といえば?
解答
問306 巨赤芽球性貧血の末梢血所見を三つ挙げよ。
解答
- 大球性貧血
- 汎血球減少
- 5分葉以上の過分葉好中球(たいてい3分葉が正常)
問307 巨赤芽球性貧血の骨髄所見を二つ挙げよ。
解答
問308 巨赤芽球性貧血でみられる皮膚所見は?
解答
問309 巨赤芽球性貧血での血漿鉄交代率はどうなる?
解答
問310 巨赤芽球性貧血では、なぜ血清ムラミダーゼが増加する?
解答
ムラミダーゼとは、単球系のリゾチームのことである。無効造血するのは赤血球のみではない。
問311 Schilling試験とは?
解答
60CoでマーキングされたビタミンB12を用いて、ビタミンB12の吸収能を調べる試験。尿に排泄された60Co-Vit.B12を測定し、量が少なければちゃんと吸収されなかったことを示す。そこで、次に胃内因子も一緒に服用して、60Co-Vit.B12の吸収能をもう一度調べる。胃内因子欠乏が原因なら吸収能が正常化する。
問312 巨赤芽球性貧血でみられる貧血外症状は? 四つ挙げよ。
解答
- 間接ビリルビン高値の黄疸
- 白髪
- Hunter舌炎(舌乳頭萎縮:高度な灼熱感あり)
- 亜急性連合性脊髄変性症
問313 悪性貧血とは?
解答
抗内因子抗体、または内因子を産生している壁細胞に対する抗体のせいで内因子の作用が失われて生ずる巨赤芽球性貧血。別名を「A型慢性胃炎」。
問314 悪性貧血をみたときに考慮せねばならない検査といえば?
解答
問315 悪性貧血のとき、骨髄での赤芽球はどうなっている?
解答
高値を示す。
(無効造血で大球性貧血、ときたら、悪性貧血を真っ先に考える。)
問316 ビタミンB12の一般的な投与方法は?
解答
皮下、または筋注(経口投与の有効例もあるが、吸収効率が悪い)
問317 葉酸の投与方法は?
解答