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このページは、2020年4月17日に投稿しました。
2020年4月17日現在、本邦での新型コロナウイルスの感染者数は約1万人に達しています。
4月11日前後で新規感染者数はピークをむかえたようにも見えますが、春の人事異動の時季であることも考えると、まだまだ油断ができません。
油断ができないどころか、マスクやガウンなどの感染予防策の装備が供給されないことから、医療従事者の二次感染が緊急課題となり、4月16日には非常事態宣言を全都道府県に拡大する政府発表がありました。
ニューヨークでは、マスクを着けられないまま、診療を強いられる状況になっているそうです。
筆者の周辺地域もそうですが、ガウンが底をついてしまい、今後の感染対策に頭を抱えている施設も多いのではないでしょうか?
そこで、代用品となるようなゴミ袋でのガウン作成手順を公開しました。
参考にしていただければ幸いです。
【準備するもの】
・ゴミ袋×2枚(45L以上)
・テープ(なんでもアリ)
・ハサミやカッター
できれば、幅の広いテープのほうが密閉性を保ち、かつ頑丈につくることができます。
【手順1】襟元の作成
まず、ゴミ袋を2枚用意します。
今回は一般的な45Lの袋で作成しますが、これで出来上がるサイズはMサイズのTシャツ相当です。
Lサイズ相当の方が着用するのであれば、60Lのゴミ袋を使用した方がよいでしょう。
この、口がひらいている方が下側になります。
まず首を出す襟元をつくりますので、反対側(ゴミ袋の口のあいていない方。言い換えれば、”袋の底”に相当する方)から作業をはじめます。
なお、このプロダクトでは定規は一切つかいません。面倒な手間を省くためです。
袋の底にあたる部分の辺を、写真のとおりおおよそ4等分してください。
その内側2目盛りぶんを、黒い点線のように切り取りましょう。
襟元を切るときは、折り紙の要領でゴミ袋を折りたたみながら切っていくと、きれいな線対象になります(A)。
あまり首を露出しない方がいいでしょうから、おおよそ2横指分の深さでカットします(B)。
カットしたあと、たたんでいたぶんを展開すると、襟元の完成です。
正直なところ、もう少し大きめの穴の方が余裕がありますが、あまり大きくしエグりすぎると修正が面倒になります。
窮屈な部分は、後で慎重に裂いて調整してください。
【手順2】腕~袖の作成
腕を通す部分をつくります。写真のように、おおよそ片手分+2横指ほどの穴を作成します。
このときも、袋を折りたたんで切り取れば左右の袖を一度に作ることができます。
展開すると、このようになります。
ご自分の上腕の太さと手の大きさを比べていただければわかりますが、正直なところ袖の穴はもう少し広げないとキツくなります。
ですが、さきほどの襟元の時と同じく、あまり広げすぎると感染防御効果に不安が生じるため、あとで袖部分とつなぎ合わせた際に微調整する程度にとどめた方が無難かと思います(筆者は、最初に試作したときに腕を通す穴を大きく広げすぎてしまい、ワキがガラ空きのガウンになってしまいました・・・)。
なお、ここで大事なポイントをご紹介します。
そもそもゴミ袋・・・つまりポリエチレンという材質は裂けやすいものですから、切り口を放っておくと、上の写真のようなテンションがかかった場合に、一気に裂け目が広がってしまいます。
そこで、このように切れ目にはテープを貼って、それ以上裂けていかないようなストッパーを設けておく必要があります。透明なセロハンテープなのでわかりにくいですね・・・。
地味な作業ですが、いざガウンを着たときにビリビリッといかないようにするうえで重要なポイントになります。
さて、つぎに腕~袖部分の作成にうつりましょう。
今回用意したうちの、もう一枚のゴミ袋を、上の写真のように2枚に切ります。
手を切らないように注意しましょう。
上の写真は、下側が袋の口の部分になっています。
2枚になりました。
この長辺が腕の長さ、短辺が腕の太さに相当し、これから筒状の形態を目指していきます。
さて、このうち1枚を横長に置きます。
表現が難しいため、模式図を用意しました。
模式図の通りにセットしたあと、袖の太さ調節にとりかかります。
あまり太いと和服の振袖みたいになってしまいます。一方でキツすぎても実用に耐えられないので、ブカブカになるようにします。今回は、短辺が2/3になるように折ってテープ固定しました。
ざっくりとで結構です。
ここでワンポイント。
左の写真をご覧ください。
袖を通す部分で、赤い点線で囲ったように二つの孔ができていると思います。
黒い矢印(↑マーク)の部分は、大動脈解離で例えれば偽腔にあたる空間です。
ここに腕を通すと、不自然なテンションがかかり、ここまで作ったガウンが破れます。
そこで、右の写真のように、偽腔をペタンとテープで塞いでおきましょう。腕を通すときのストレスが減ります。
さて、そのあとは手を出す部分を空けます。ここは単純に盲端となっている先っちょを切ればOKです。
切り取った部分は、後で使うので捨てずに残しておいてください。
【手順3】腕部分と胸部分の合体
いよいよ、腕部分と胸部分を合体させます。
腕部分を胸部分の穴に差し込んでテープ止めします。
ここで注意してほしいのは、アルファベットの゛T゛字で繋がないことです。
胸部分と直角に接着させてしまうと、ガウンを着たあと、腕を降ろした際に首から肩にかけてテンションがかかってしまいます。
そうすると、採血やルート確保などのときに背中あたりが引っ張られ、作業にストレスを生じます。
ですので、左の写真のように、おおよそ30°~45°くらいの角度をつけて繋ぎましょう。
とはいえ・・・、
腕部分を胸部分に引き込んで接着する際に、どうしても90°近くの角度になりがちですなのですが・・・。
(なので、余計に”斜めに接着する”と意識してください)
腕部分と胸部分をテープ固定するラインは、だいたい襟元と肩の穴の中間ポイントにします。
割と腕部分を胸部分の奥まで引き込んで接着する理由は、少しでも密度を増すためです。
接着時の注意点はこちらです。
左の写真のように平たい上でピタッと張り付けてしまうと、どうなるでしょうか?
右の写真でお示ししたとおり、内腔が狭くなってしまい、着たときにワキが締め付けられ、窮屈になってしまいます。キツキツだと、破れやすくなるのは明らかですね。
そこで、腕部分と胸部分を貼り合わせるときは、あらかじめペットボトルのような太めの円柱状のものを中に突っ込みながら貼った方が良いです(相変わらず、透明でわかりくくてスミマセン・・・)。
今回はたまたま手元にあった500mLのペットボトルを使用しましたが、1.5Lのペットボトルの方がよりベターでしょう。病院内で作業されている方は、たとえば使用済みの500mLの点滴ボトルなどを使用してみてはいかがでしょうか?
これでだいぶガウンらしくなりました。
【手順4】背中を割き、脱着しやすくする工夫を。
ここまでで完成にしてもいいのですが、脱ぐときのことも考えなければなりません。このままでは、脱ぐときにとっちらかってしまい、ガウンの付着物を周りに撒き散らすかもしれません。
そこで、背中を割きます。
これで、かなり着やすく、かつ、脱ぎやすくなりましたね。
ここで、袖作成のときに切り取った部分を張り付けて、ガウンの背中を結ぶヒモとします。
ただし、このヒモはガウン本体にテープで貼り付けられるわけですが、ヒモを結ぶときにテープごと剥がれてしまうことがあります。
あえてヒモは作成せず、介助者にテープ止めしてもらった方が実用的かもしれません。
完成です!
ここまで、ゴミ袋、正確にはポリ袋でのガウン作成の流れを解説させて頂きました。
最後にもうひとつ大事なことがあります。
それは、このゴミ袋ガウンの欠点です。
そもそもポリエチレン繊維は破れやすい、というのもひとつですが、それ以上に問題なのは、
ハンパなく蒸れるということです。
上の写真はわかりにくいのですが、筆者の腕から発生した蒸気でガウンが曇った様子です。
蒸れた状態だと、脱ぐときに厄介になります。
従って、このゴミ袋ガウンを使用する際には、あらかじめ長袖のインナーを着用しておくことくを強く推奨します。
以上、試作と試用を繰り返した筆者の私見をまじえて、ゴミ袋ガウンをご紹介しました。
ガウンが底をついた施設での活用をご検討ください。