問1.「便秘症」の定義に合致するものを二つえらべ。
a) 排便の4分の1超の頻度で、強くいきむ必要がある。
b) 排便の4分の1超の頻度で、兎糞状便または硬便である。
c) 排便の2分の1超の頻度で、残便感がある。
d) 排便の2分の1超の頻度で、会陰部を圧迫する必要がある。
e) 自発的な排便回数が、週に4回未満である。
解答を読む
解答 a)、b)
a)、b)は文章のとおり。
c) 正しくは、排便の4分の1超の頻度。
d) 正しくは、排便の4分の1超の頻度。会陰部圧迫のほかに摘便などの用手的な排便介助を必要とするかどうかがポイントのひとつである。
e) 正しくは、週に3回未満。
なお、「慢性」かどうかの診断基準は、6か月以上前から症状があり、最近3か月間は「便秘症」の定義を満たしていることである。
a)、b)は文章のとおり。
c) 正しくは、排便の4分の1超の頻度。
d) 正しくは、排便の4分の1超の頻度。会陰部圧迫のほかに摘便などの用手的な排便介助を必要とするかどうかがポイントのひとつである。
e) 正しくは、週に3回未満。
なお、「慢性」かどうかの診断基準は、6か月以上前から症状があり、最近3か月間は「便秘症」の定義を満たしていることである。
問2. 下記の薬剤のうち、長期連用で難治性便秘症に陥りうる薬剤を二つえらべ。
a) 酸化マグネシウム
b) センノシド
c) ピコスルファートナトリウム
d) ルビプロストン(商品名アミティーザ®)
e) エロビキシバット水和物(商品名グーフィス®)
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解答 b)、c)
センノシド、センナ(アローゼン®)、ビサコジル(テレミンソフト®)、ピコスルファートのような刺激性下剤は、安価、かつ即効性が期待できることから頻用されているが、耐性を生じて難治性便秘症に陥る可能性が指摘されていることから、必要時のみの使用が好ましい。
センノシド、センナ(アローゼン®)、ビサコジル(テレミンソフト®)、ピコスルファートのような刺激性下剤は、安価、かつ即効性が期待できることから頻用されているが、耐性を生じて難治性便秘症に陥る可能性が指摘されていることから、必要時のみの使用が好ましい。
問3. 食後投与で下痢の発現率が高い薬剤をえらべ。
a) モサプリドクエン酸
b) 酸化マグネシウム
c) ルビプロストン
d) 大建中湯
e) リナクロチド(商品名リンゼス®)
解答を読む
解答 e)
リナクロチドを食後投与した場合、食前投与時よりも薬理学的変化が大きく下痢の発現率が高まることが報告されている。
リナクロチドを食後投与した場合、食前投与時よりも薬理学的変化が大きく下痢の発現率が高まることが報告されている。
問4. 妊婦への処方が禁忌の薬剤をえらべ。
a) ルビプロストン
b) センノシド
c) エロビキシバット水和物
d) 大黄甘草湯
e) 酸化マグネシウム
解答を読む
解答 a)
ルビプロストンは動物実験の際に胎児死亡が確認されたことから、妊婦への投与は禁忌に指定されている。
そのほか、ルビプロストンの副作用として注意するべきなのが「下痢」と「悪心」である。治験ではそれぞれの発現率が30%、23%にのぼるとされている。
2017年版のガイドライン策定においては、ルビプロストンと酸化マグネシウムが強く推奨される内容になっているが、今後頻用されると思われる薬剤だからこそ、その禁忌と副作用はしっかりとおさえておきたい。
なお、酸化マグネシウムでは腎不全症例において高マグネシウム血症を惹起しうる。
ルビプロストンは動物実験の際に胎児死亡が確認されたことから、妊婦への投与は禁忌に指定されている。
そのほか、ルビプロストンの副作用として注意するべきなのが「下痢」と「悪心」である。治験ではそれぞれの発現率が30%、23%にのぼるとされている。
2017年版のガイドライン策定においては、ルビプロストンと酸化マグネシウムが強く推奨される内容になっているが、今後頻用されると思われる薬剤だからこそ、その禁忌と副作用はしっかりとおさえておきたい。
なお、酸化マグネシウムでは腎不全症例において高マグネシウム血症を惹起しうる。
問5. 大腸通過遅延型の便秘症の場合、まず行うべき内容はどれか。
a) 酸化マグネシウムの投薬
b) 刺激性下剤の投薬
c) 大腸内視鏡検査
d) 排便造影検査
e) 食物繊維摂取量の把握
解答を読む
解答 e)
ガイドライン準拠で診療を進める場合、まずいきなり投薬、というスタンスは推奨されない。
大腸内視鏡検査は大腸狭窄を疑う病歴や理学所見が疑われた場合に行われるものである。そもそも大腸通過遅延型便秘症は、大腸狭窄のような器質的な原因が除外されてはじめて診断されるものであるため、本問のように既に大腸通過型便秘症と診断されている場合には不要である。
排便造影検査は、便の排出障害型便秘症で、かつ軟便でも排便が難しい症例の場合に専門施設で実施される検査である。
正答である食物繊維摂取量については、18g/日以上を摂取しているかどうかがポイントである。18g/日以上の食物繊維を摂取しているにも関わらず大腸通過型便秘症なのであれば、そこではじめて酸化マグネシウムのような薬剤を考慮することになる
問6. 大腸通過遅延型便秘症の原因として一般的に考えられるものを二つえらべ。。
ガイドライン準拠で診療を進める場合、まずいきなり投薬、というスタンスは推奨されない。
大腸内視鏡検査は大腸狭窄を疑う病歴や理学所見が疑われた場合に行われるものである。そもそも大腸通過遅延型便秘症は、大腸狭窄のような器質的な原因が除外されてはじめて診断されるものであるため、本問のように既に大腸通過型便秘症と診断されている場合には不要である。
排便造影検査は、便の排出障害型便秘症で、かつ軟便でも排便が難しい症例の場合に専門施設で実施される検査である。
正答である食物繊維摂取量については、18g/日以上を摂取しているかどうかがポイントである。18g/日以上の食物繊維を摂取しているにも関わらず大腸通過型便秘症なのであれば、そこではじめて酸化マグネシウムのような薬剤を考慮することになる
問6. 大腸通過遅延型便秘症の原因として一般的に考えられるものを二つえらべ。。
a) 骨盤底筋協調運動障害
b) 腹圧低下
c) 抗コリン薬
d) 直腸感覚低下
e) 過敏性腸症候群
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解答 c)、e)
a) 機能性便排出障害の原因である。
b) 機能性便排出障害の原因である。
c) 抗コリン薬のほか、向精神薬、オピオイドも原因になりうる。
d) 機能性便排出障害の原因である。
e) 大腸通過正常型便秘症の原因にもなりうるが、遅延型便秘症の原因になる場合もある。
「便秘症」はもっともありふれたcommon doseaseであるにも関わらず、その定義があいまいであった。そこで2017年のガイドライン策定にあたり、「本来排出されるべき糞便を、十分量かつ快適に出せない状態」と定義づけられた。ガイドライン自体は、国際的な便秘症診断との齟齬について学術的な意味での議論が止まない内容ではあるが、“軽症、なれど患者満足度が最低“であった便秘症診療に一つの道筋が立てられたことについては一定の評価がなされるべきであろう。
a) 機能性便排出障害の原因である。
b) 機能性便排出障害の原因である。
c) 抗コリン薬のほか、向精神薬、オピオイドも原因になりうる。
d) 機能性便排出障害の原因である。
e) 大腸通過正常型便秘症の原因にもなりうるが、遅延型便秘症の原因になる場合もある。
「便秘症」はもっともありふれたcommon doseaseであるにも関わらず、その定義があいまいであった。そこで2017年のガイドライン策定にあたり、「本来排出されるべき糞便を、十分量かつ快適に出せない状態」と定義づけられた。ガイドライン自体は、国際的な便秘症診断との齟齬について学術的な意味での議論が止まない内容ではあるが、“軽症、なれど患者満足度が最低“であった便秘症診療に一つの道筋が立てられたことについては一定の評価がなされるべきであろう。