急性冠症候群の診療について【2018年版】-前編-

問1 急性冠症候群(ACS)の概念について、誤っているものをえらべ。
a) ACSは冠動脈内のプラークが破綻して血栓を生じることで発症する。
b) ACSは、労作性狭心症を生じる高度狭窄病変から生じることが多い。
c) 不安定狭心症と非ST上昇型心筋梗塞は初療時に厳密に分類する必要はない。
d) ACSの最終診断においては、CK-MBよりも心筋トロポニンの使用が推奨される。
e) ST上昇型心筋梗塞には、新規の左脚ブロックも含まれる。
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問2 ACSの疫学について誤っているものをえらべ。
a) 欧米諸国とくらべて、本邦でのAMI発症例はすくない。
b) AMI発生時の年齢は、男性よりも女性の方が高い。
c) 欧米では、1980年代後半から2000年代にかけて、AMIの年齢調整発症率は減少した。
d) 本邦では、1990年代から2000年代にかけて、AMIの年齢調整発症率は横ばいである。
e) 非ST上昇型心筋梗塞の方が、ST上昇型心筋梗塞よりも慢性期の死亡率が低い。
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問3 ACSの救急医療体制について、誤っているものをえらべ。
a) ST上昇型心筋梗塞(STEMI)の再灌流療法は、発症から120分以内が目標である。
b) STEMIへの血栓溶解療法を開始する目標時間は、医療従事者との接触(救急隊との接触含む)から血栓溶解薬投与まで30分以内である。
c) STEMIへの経皮的血管形成術を開始する目標時間は、医療従事者との接触からバルーン拡張ないし血栓吸引療法まで90分以内である。
d) 再灌流療法が実施できない施設にSTEMI患者が受診した場合、その施設の滞在時間(door-in-door-out time)は90分以内が目標である。
e) プレホスピタル12誘導心電図は、死亡率の減少に寄与する可能性が高い。
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問4 胸痛疾患に対する初期対応として、誤っているものを2つえらべ。
a) 非ST上昇型ACSの場合、病院到着から90分以内にバルーン拡張を行うことが予後改善に直結する。
b) 急性下壁心筋梗塞症を疑った場合は、右側胸部誘導でV4RのST上昇の有無を確認する。
c) 心原性の検査異常をともなわず、飲食で誘発され、飲水で軽減する場合は食道痙攣の可能性を考える。
d) ST上昇の心電図診断基準上、STレベルの計測はJ点で行うことになっている。
e) V7-V9誘導において、ST上昇とみなす基準は1.0mm以上である。
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問5 非ST上昇型ACSの診断で誤っているものをえらべ。
a) 入院時のST低下のレベルが高度であるほど(STが低いほど)、予後不良である。
b) 純後壁梗塞と非ST上昇型ACSの鑑別点は、ST低下の主体が前者ではV1-V3誘導、後者ではV4-V6誘導という点である。
c) QRS幅の延長は心筋虚血を反映しない。
d) 全例が緊急カテーテル検査の適応となるとは限らない。
e) 他肢病変や不安定狭心症など、多彩な疾患群の総称であるため、その予後や重症度も幅がひろい。
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問6 TIMIリスクスコアに含まれる冠危険因子として、当てはまらないものをえらべ。
a) 家族歴
b) 高血圧の有無
c) 高コレステロール血症の有無
d) 糖尿病の有無
e) 高尿酸血症の有無
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問7 TIMIリスクスコアにあてはまらないものをえらべ。
a) 年齢 (65 歳以上)
b) 3つ以上の冠危険因子
c) 既知の冠動脈有意 (≧ 50%)
d) 7 日以内のアスピリンの服用
e) 24 時間以内に2回以上の狭心症状の存在
f) 心電図における0.5 mm 以上のST 偏位の存在
g) 心筋バイオマーカーの上昇
h) 上記のいずれもリスクスコアの指標である。
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問8. GRACE ACSスコアにあてはまらないものをえらべ。
a) 年齢
b) 心拍数
c) 拡張期血圧
d) 血清クレアチニン値
e) Killip分類
f) 心停止での入院
g) 心筋バイオマーカーの上昇
h) 上記のいずれもリスクスコアの指標である。
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問9. ACSへの初期治療として、正しいものをえらべ。
a) ACSと診断された場合、ルーチンでの酸素投与が推奨される。
b) ACSと診断された場合、ルーチンでの硝酸薬投与が推奨される。
c) 循環血漿量がすくないACS症例への除痛において、塩酸モルヒネは強く推奨される。
d) アスピリン禁忌のACS症例に対しては、チエノピリジン系抗血小板薬を用いる。
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