問1 サルコイドーシスの原因細菌として分離培養される菌はどれか?
a) P. acnes
b) Pneumocystis jirovecii
c) S. aureus
d) Pseudomonas aeruginosa
e) Mycobacterium tuberculosis
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サルコイドーシスの肉芽腫から、ニキビの原因で知られるP.acnes由来のDNAが検出されることから、P.acnesへの免疫応答で肉芽腫が形成されるという説が提唱されている。
問2 サルコイドーシスの特徴的検査所見として合致しないものをえらべ。
a) 両側肺門部リンパ節腫脹
b) 血清ACE活性低値
c) 可溶性IL-2レセプター抗体高値
d) 67Ga citrate シンチグラフィで著明な集積
e) BAL検査でCD4/CD8 比が3.5 を超える
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サルコイドーシスでは、血清ACE値、または血清リゾチーム値が上昇する。
サルコイドーシスの診断は、類上皮細胞肉芽腫病変の証明が条件とされてきたが、組織診断学的に証明がされていなくても、上記諸項目のうち2つが陽性であり、かつ呼吸器、眼、心臓の3臓器のうち、2臓器において本症の臨床徴候が認められればサルコイドーシスとして臨床診断することが可能である。
※シンチグラフィの代わりに18F-FDG PETを用いることができるが、心臓サルコイドーシスでのみ保険適用である。
※、また、サルコイドーシスの検査において、血清リゾチームや可溶性Il-2レセプター抗体の測定は保険適用外である。
問3 サルコイドーシスの心臓病変の臨床所見として、あてはまらないものをえらべ。
a) 高度房室ブロック
b) 心室瘤
c) 心筋の局所壁運動異常
d) 心室壁の局所的な肥厚
e) ガドリニウム造影MRIでの心室壁の造影欠損像
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a) 高度房室ブロックのほか、心室細動や心室頻拍もあてはまる。
b)~c) 従来は、心エコー図での心室基部の菲薄化所見が指摘されていたが、そのほかにも心室瘤やEF50%未満の収縮不全、局所壁運動異常、壁肥厚なども診断基準に含まれるようになった。
e) ガドリニウム造影MRIで心室壁での造影欠損が認められるのは、虚血性心疾患である。サルコイドーシスでは25%の症例でspot状~粒状の遅延造影が認められる。ただし、この遅延造影所見は他の心疾患でも認められるため、分布の状況なども加味して評価しなければならない。
サルコイドーシスの「心臓所見あり」とするには、ざっくりといえば、
①致死性不整脈
②心エコーでの形態異常
③心エコーでの運動異常
④シンチグラフィまたはPETでの異常集積
⑤造影MRIでの遅延造影
・・・のうち、2つを満たしたものである。
もしくは、上記①~⑤のうち1つと、
ⅰ)心室性不整脈
ⅱ)シンチグラフィでの局所欠損
ⅲ) 心筋生検で単核細胞の浸潤と心筋間質の線維化
・・・の3つのうち2つを満たしたもの、とされる。
問4 サルコイドーシスの心臓病変の好発部位として、頻度が高いものを2つ挙げよ。
a) 心室中隔基部
b) 心房壁
c) 心尖部
d) 右室左室接合部
e) 右室自由壁
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中隔基部の菲薄化が有名だが、心房壁での心臓病変も多い。他の部位についても報告例はあるが、頻度は低い。
なお、右室左室接合部を好発とする心筋症は肥大型心筋症(の心臓MRI所見)であり、右室自由壁を好発とする心筋症は、不整脈原性右室心筋症である。
問5 以下のうち、サルコイドーシスへの免疫抑制療法として使用される頻度が低いものを二つえらべ。
a) メトトレキセート
b) アザチオプリン
c) プレドニゾロン
d) シクロフォスファミド
e) インフリキシマブ
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第一選択薬はプレドニゾロンであるが、メトトレキセート、インフリキシマブの使用例もある。上記b)とd)は数例の症例報告程度。
問6 心サルコイドーシスと巨細胞性心筋炎の病理学的鑑別点として、正しいものをえらべ。
a) Langhans型巨細胞は、サルコイドーシスに特異的である。
b) 心サルコイドーシスでは、高頻度で好酸球の浸潤が認められる。
c) 心サルコイドーシスでは、高頻度でリンパ球による心筋細胞の壊死が認められる。
d) 巨細胞性心筋炎では、類上皮が無く肉芽種が形成されない。
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Langhans型巨細胞は、心サルコイドーシスでも巨細胞性心筋炎でも認められる。b)~d)の内容は、いずれも巨細胞性心筋炎の特徴である。