この記事は、2019年9月15日に更新しました。
Ⅱ. 筆者のおこなった試験対策
-1. 医師国家試験対策用クエスチョンバンク
-2. 総合内科専門医試験用クエスチョンバンク
-3. 内科学会発刊のセルフトレーニング問題集
-4. 内科学会発刊の過去問題集
-5. 内科学会誌の『特集の理解を深めるMultiple Choice Questions(MCQ)
-6. マイノート
-7. 同年の認定内科医試験問題の復元
-8. イヤーノート付属のデータマニュアル
Ⅲ. 試験対策で思ったこと:もっと問題集が欲しいっ!
-9. 各科ガイドラインの練習問題を総チェックしてみよう!
Ⅳ. まとめ
総合内科専門医の試験対策って、いつ頃からやれば間に合うの?勉強方法って、どうやるの?
という質問をよくお聞きします。
正解はありませんが、筆者の反省を参考に挙げてみたいと思います。
なお、本コンテンツは、『4月からでは遅い!?総合内科専門医試験対策の開始時期』と連動して掲載しております。
「総合内科専門医試験は、きっと医師国家試験の応用が出題されるにちがいない」
「まず医師国家試験の勉強をやり直して、基礎を固めねばっ!」
おそらく、このようなお考えの方も多いのではないでしょうか。
筆者もその一人で、総合内科専門医試験を突破するからには、医師国家試験の対策をしっかりおさえておかないといけないものだと考えていました。
専門外の基礎知識がうろ覚えのままでは、いくらアップデート問題の対策に取り組んでも、高尚な内容についていけないだろうと思ったからです。
例えを挙げてみます。
今や心筋梗塞の症例にはリモデリング抑制効果を狙ってレニン・アンジオテンシン系阻害薬を導入するのが通例ですが、そもそも「レニン・アンジオテンシン系ってなんだっけ?」という状況では、ちょっとまずいわけです。
そこで、まず医師国家試験対策をやり直して、ある程度基礎知識を復習したのち、各科の専門知識の学習にとりかかる、という段取りを組んでみました。
結果的には、広範な知識を復習したおかげで総合内科専門医試験用の問題集も順調に解いていけましたし、試験本番で解答に迷った際に、病態生理の観点に立ち戻って解答をみちびきだす、といった場面も多々ありましたから、
「まず医師国家試験対策をやり直して基礎を固める」
という基本方針に間違いはなかったのだと思います。
ですが、誤算もありました。
医師国家試験問題が当初の想定以上にアップデートされていて、基礎固めにかなり時間を割かれてしまったという点です。
もちろん、本番までに総合内科専門医試験対策用の問題集は何周も解いていました。
ですが、裏をかえせば問題集に出題された内容しかフォローできていなかったのです。
定着した知識はかなり限定的であり、言うなれば、
「浅く広く、一部だけ深く」
の状態でした。
”ヤマが外れれば一巻の終わり”に極めて近かったと思います。
試験を受けた後だからいえることですが、総合内科専門医試験は、
「深く広く」
が求められる試験です。
ふだんカテーテルやペースメーカーの治療ばかり行っている循環器内科医に対して、抗がん剤や分子標的薬の作用機序を問うような試験なのですから、「浅く広く」では通用しないのです。
ですから、たしかに医師国家試験対策で基礎固めをすることは大切なのですが、医師国家試験対策のような易しい問題は出ない
ということも念頭にいれておきましょう。
それよりも、早めに各診療科のガイドラインのチェックにとりくんだ方が、得点は上がると思います。
Ⅱ. 筆者のおこなった試験対策
-1. 国家試験対策用クエスチョンバンク
前述のとおり、まず基礎をおさえておかないと高度な専門知識についていけないと思っていましたので、学生たちが愛用している国家試験対策用問題集”クエスチョンバンク”を購入してコツコツと復習していました。
筆者は、出版から一年が経った古いクエスチョンバンクを使いましたが、ちょうど国家試験が終わる2月末-3月頃に最新のクエスチョンバンクが中古として出回りますので、その時期を待って最新版のクエスチョンバンクを手に入れる、というのもアリだったと思います。
ですが、医学生たちの受験が終わるのを待っていると、自分の専門医試験対策にとりかかるタイミングが遅くなってしまいます。
一年くらい古い問題集でも病態生理の内容に大きな変わりはありませんし、注目を浴びているアップデート問題については総合内科専門医試験用の問題集でフォローすればよいのではないでしょうか?(このへんは意見がわかれそうですが・・)
(筆者が購入したクエスチョンバンク(内科系全巻)は8000円くらいの安値でした。)
実際、総合内科専門医試験は重箱のスミをつつく問題ばかりですので、医師国家試験対策用問題集を熱心にやっても得点には直結しにくいです。
医師国家試験対策用クエスチョンバンクを使用するのは、あくまでも各疾患の病態生理や疾病分類基準の見直しのため、と割り切ったほうがよいでしょう。
-2. 総合内科専門医試験対策用クエスチョンバンク
専門医試験対策用のクエスチョンバンクは4月末頃から始めました。
あまりの難易度に呆然とした記憶があります。
「いや、ちょっと合格はムリじゃない?」
と焦りを感じましたが、それが4月や5月だったので、なんとか挽回できたのだと思います。
4月前までは、
「いくらなんでも、そこまで難しい問題は出ないだろう」
とタカをくくっていましたから、春のうちに試験対策に本腰を入れられたのはよかったと思います。
とにかくこの問題集は何周もしました。
問題文と解答を覚えてしまうくらいに。
この”問題集を解いて覚える”という作戦は、「解けるように成長した」という自己暗示に変質化していくので要注意です。
以下は、筆者の反省のひとつです。
なんとなく自信のようなものが湧いてきますが、それはしょせんはメッキに過ぎません。
筆者の場合、内心は不安感をぬぐいきれず、様々なパターンの問題を解いてみないと真の実力がついたかどうかわからない、という事態に陥ってしまいました・・・。
後述しますが、このときに感じた不安感が、本サイト『めどさぽ』で『各診療科のガイドライン準拠のトレーニング問題』をつくる動機になりました。
-3. 内科学会発刊のセルフトレーニング問題集
-4. 内科学会発刊の過去問題集
(上記3.と4.はまとめて解説します)
内科学会が発刊しているセルフトレーニング問題集には、7月に手をつけました。
セルフトレーニング問題集は総合内科専門医試験の対策において、最も重要な参考書です。
アップデートの内容も試験本番のものに酷似しますから、いわば『公式のクエスチョンバンク』です。必ず解いておきましょう!
おそらく、この問題集を使用せずに合格した受験者はあまりおられないのではないでしょうか。
一方、過去問題集は模試代わりにして、8月第一週に解きました。
だらだらと医師国家試験対策用のやり直しにとりくみ続け、肝心の総合内科専門医試験対策と呼べるものは、クエスチョンバンクとセルフトレーニング問題集の知識のみ・・・そんな状態でしたから、自分の力試しをしたかったのです。
実際にとりかかってみると、案外解けるのにおどろきました。
採点してみると、正解率は7割ほど。
医師国家試験対策に時間をかけすぎた反省はありましたが、まるっきり無駄ではなかった、となぐさめられた瞬間でした。
唐突ですが、ここで非常に重要なアドバイスがあります。
内科学会発刊の過去問題集、セルフトレーニング問題集は、7月までに手に入れておきましょう。
なぜかと言いますと、8月中旬は学会事務が一週間ほどお盆体制でお休みに入るからです。
慌てて取り寄せる受験生も多く、台風などで発送の遅滞なども重なると、試験10日前にようやく手元に届いた・・・なんていうこともありえます。
8月下旬は試験直前情報や講義DVDが出回る時期で、そちらに時間をとられることもありますから、これらの過去問題集やセルフトレーニング問題集は、遅くとも7月下旬までには手元に置いておくようにしたいものです。
-5. 内科学会誌の『特集の理解を深めるMultiple Choice Questions(MCQ)』
MCQは、毎月発刊される内科学会誌に掲載されている練習問題のことです。
筆者は、過去2年分のMCQを二周しました。
そこから得た結論は、試験対策としては必要なしということです。
むろん、内科学会のトピックスが要点としてまとめられているため、試験とは関わりない範囲でMCQを解かれることは非常に有用だと思います。ただ、試験には出ません。
おそらく、問題の難易度が高すぎるのです。
その理由は、このMCQはガイドライン準拠・・・というよりも、紹介された知見が最新すぎて、専門医試験問題に出題しにくいためだと思われます。
-6. マイノート
”マイノート”とは、学生時代に自分が作っていた試験対策ノートです。
いま、この『めどさぽ!』のサイトで順次掲載している『口答試験形式の演習問題』は、このマイノートをアップデートしたものです。
スキマ時間に自ら口頭試問を反復することで、ポイントを頭に染みこませる・・・一見遠回りに見えるかもしれませんが、基礎知識を整理して応用問題に強くなるためには有効な手段だと思います。
このような自作のノートというのは、当時の記憶も付随して思い出すことがありますし、最も自分に馴染んだ参考書だと思います。
医師になってからも愛着があって捨てずにとっている方も多いと聞きますし、皆さんも昔の自作ノートを紐解いてみてはいかがでしょうか?
-7. 同年の認定内科医試験問題の復元
同じ年の認定内科医試験は、7月におこなわれます。
筆者は、同年に受験した後輩から出題内容を教えてもらい、注目されている分野、疾患をチェックしました。
当然、まったく同じ問題は出題されませんでしたが、広大な出題範囲のなかから、試験対策の具体的な手掛かりを見つけてポイントをおさえることができました。
実際に、この復元内容をきっかけにチェックした疾患が総合内科専門医試験でも出題されたときは、「ヤマが当たった!」と感激したものです。
ただし、認定内科医制度の廃止とともに、いずれこの試験が無くなることを考えると、今後もずっと有効な方法ではありません。
-8. イヤーノート付属のデータマニュアル
空き時間があれば、ひたすらこの本を読みこむ、というのもアリだと思います。
なぜならば要点がまとまっているほか、過去に専門医試験で出題されたかどうかが明記されている本だからです。
筆者の場合は、自分に合ったマイノートの読み直しを優先したがために、このデータマニュアルのチェックが間に合わず、試験当日までに5割くらいしか終わりませんでした。
試験後に読み返すと、重箱のスミをつつく問題を、あと10問くらいは答えられたのに・・・と悔やまれました。
筆者は医師国家試験対策→総合内科専門医試験対策・・・という流れでとりかかり、
「医師国家試験対策に時間をかけすぎた」
という反省を得ました。
同時に、ひたすら総合内科専門医試験対策の問題集を解きましたが、メッキの知識を塗り重ねただけに過ぎず、時間が経ったり問われ方が変わると、途端に答えられなくなるという”薄っぺらさ”も自覚していました。
やはり、市販の問題集だけでは絶対的な知識量が足りないのでしょう。
各診療科の主なガイドラインをチェックして、地道に専門知識を積み上げていければ、実力が裏打ちされてくるのだと思います。
ところが、それぞれのガイドラインをチェックするにも、数が膨大すぎて読み込んでいくには効率が悪すぎます。
そこで、筆者はポイントをおさえながら学習できるようなサポートができれば・・・と思うようになりました。
それが、各学会事務局に直接相談にのっていただき、筆者独自の視点で作成した内科系専門医試験対策コンテンツです。
非営利で掲載していますので、少しでも学習のお役に立てれば幸いです。
以下は、自らの反省をもとに、これから総合内科専門医試験に臨もうとされる方におすすめの勉強法を提案したいと思います。
①まず、医師国家試験対策のやり直しを始めましょう。
②ただし、おおまかな病態生理と疾病分類基準をおさえたら、早めに総合内科専門医試験用の問題集にとりかかりましょう。
医師国家試験対策のやり直しに重点をおくのは、二か月くらいで良い気がします。
③医師国家試験対策の補てんには、イヤーノート付属のデータマニュアルを利用しましょう。
クエスチョンバンクを持ち歩くよりも携帯性に優れていますから、いつもカバンに入れて、ヒマさえあれば読むようにしましょう。おそらく、医師国家試験対策のやり直しはこれだけで十分です。
④つづいて、総合内科専門医試験用の問題集をたくさん解きましょう。特にクエスチョンバンクとセルフトレーニング問題集は、解いたぶんだけ合格に近づきます。
⑤各診療科のガイドラインをチェックするべきですが、限られた時間のなかでポイントをおさえていく必要があります。
僭越ながら、当サイトの内科系専門医試験対策コンテンツをお役に立てていただきたいと思います。
上記のほか、人によっては対策講義を利用される方や、5ch(旧2ch)の情報を集める方もおられるでしょう。
総合内科専門医試験では、基礎の復習とアップデートの勉強が要点になります。日常診療で勉強時間が限られているなか、いかに効率よく両者に時間を分配するかが合否を分けるといっても過言ではないでしょう。
医師国家試験対策をやり直すにしても、範囲が膨大なうえに得られる知識は浅いままになります。
総合内科専門医試験用の問題集を急に始めても、基礎が固まっていなければおいつけません。
しっかりと基礎をおさえたのち、可及的すみやかに総合内科専門医試験用のトレーニング問題に重点をシフトするのが肝要でしょう。
医師国家試験対策のやり直しは重要だが、時間をかけ過ぎないようにしよう!
専門医試験用の問題集を解いて、様々な出題パターンに対応できるようにしよう!
MCQは試験に出ないため、それよりもセルフトレーニング問題集を完璧におさえよう。
本サイトのトレーニング問題を活用していただけるとうれしいです!