問1. 2015年5月のWHOで採択された薬剤耐性に関するグローバル・アクションプランの5つの柱として、誤っているものはどれか。 a) 普及啓発・教育 b) 動向調査・監視 c) 感染予防・管理 d) 抗菌薬の適正使用 e) 生活習慣病の是正 解答を読む
解答 e) 正しくは研究開発・創薬。 感染症による死亡例が減ったのち、製薬会社の創薬は、非感染症へ薬剤にシフトし、抗菌薬の開発が停滞している。 なお、2016年の伊勢志摩サミットでは、第6の柱として『国際協力』という項目が追加された。 余談であるが、この伊勢志摩サミットの際に、各国首脳をスーパーヒーローに見立てた
等身大パネルが展示されていた。サミット後、あのパネルは何処に・・?
問2 薬剤耐性菌への対応プランに関して、正しい記述をえらべ。 a) 本邦は他国と比べて抗菌薬の処方率が高く、耐性菌出現率が高い。 b) 学校保健教育の一環として、薬剤耐性の問題が挙げられている。 c) 動物用の抗菌薬使用に関しては、2018年現在のところ明確な法規制が定められていない。 d) 抗菌薬の使用量は、人種や体格、保険によって異なるため、国際的な比較ができない。 e) 農業分野では、抗菌薬の適正使用の啓蒙が活発である。 解答を読む
解答 b) a) 本邦は院内感染対策サーベイランス事業、および畜水産分野で抗生物質の適正使用・身長使用の徹底を行い、他国よりも耐性菌出現率が低い。しかし、院内感染サーベイランス事業の調査対象は入院機関のみであり、診療所での抗菌薬の使用状況は不明である。 b) 文章の通り。 c) 獣医師法や昭和35年制定の医薬品の安全性に関する法律などがあり、適正使用の確保が図られている。 d) 国際的な抗菌薬使用量の指標としてAMU指標があり、本邦もこの指標を用いている。 e) 農業分野では組織的な動向調査や監視が滞っているのが現状である。
問3 米国疾病予防管理センターの挙げた代表的な医療関連感染症に合致しないものをえらべ。 a) 中心静脈カテーテル関連血流感染症 b) 尿道留置カテーテル感染症 c) 人工呼吸器関連肺炎 d) 手術部位感染症 e) 輸血関連感染症 解答を読む
解答 e) 正しくは、クロストリジウム・デフィシル感染症。この菌は非常に頑強で、耐熱性と薬剤耐性を有し、腸管感染症を引き起こす。
問4 感染予防の評価指標となる接種ワクチンとしてあてはまらないものを二つえらべ。 a) 麻疹ウイルスワクチン b) インフルエンザウイルスワクチン c) ヘモフィルス・インフルエンザ菌b型ワクチン d) 肺炎球菌ワクチン e) 狂犬病ワクチン 解答を読む
解答 a)、e) 上記b)~d)の予防接種率が感染予防の評価指標として挙げられている。
問5 薬剤耐性菌を回避する方策について、誤っている記述をえらべ。 a) 食品の加工と流通過程において、耐性菌の蔓延を回避する上でHACCPが有効と考えられている。 b) HACCPでは、まず重大なリスクについて評価・予測する。 c) 診療所外来でのグラム染色は、抗菌薬の適正使用上、有用である。 d) 抗微生物薬適正使用の推進にあたって、製薬企業とのCOIが必要ない。 e) 新たなワクチン開発などに対して、製薬企業への開発推進が企画されている。 解答を読む
解答 d) a)、b) HACCP(hazard analysis critical control point)とは、原材料から最終製品にまでの全ての作業工程で、衛生面および品質管理をチェックする方式である。1990年代のO157食中毒事件以降、注目を浴びるようになった方式で、いわゆる“食の安全性”を担保するために国を挙げて推進されている。“ハサップ”と読むが、正式な英語発音上は“ハシップ”の方が近い。 c) 診療所外来でグラム染色を導入したところ、不要な抗菌薬処方が1/3に激減した。適正使用プログラム導入にあたり、3億円近い支出減につながった報告もある。 d) 抗菌薬の製薬会社の利益が絡んでくるため、COIが求められる。 e) 薬剤耐性感染症を克服する上で、新たな予防・診断・治療法の開発に資する研究を推進する方針である。アクションプランには具体的に資金援助とは記載されていないが、抗菌薬やワクチン開発が停滞した一因として、企業の経済的利益が乏しくなったことが背景である以上は、そのような後押しもあるものと予想される。
問6 2020年までのアクションプランの成果指標として、誤っているものをえらべ。 a) 肺炎球菌のペニシリン耐性率を15%以下 b) 黄色ブドウ球菌のメチシリン耐性率を20%以下 c) 大腸菌のフルオロキノロン耐性率を25%以下 d) 緑膿菌のカルバペネム耐性率を10%以下 e) 人口千人あたりの一日抗菌薬使用量を2013年水準の1/3に減少させる。 解答を読む
解答 e) 人口千人あたりの抗菌薬使用量を2/3に減量する。特に静注抗菌薬の使用量は20%の減量を目標としている。