問1. 膠原病を頻度順に3つ挙げよ。
解答
1位 関節リウマチ(RA)
2位 全身性エリテマトーデス(SLE)
3位 全身性強皮症(SSc)
問2. 関節の滑膜細胞にはどんな機能があるか?
解答
問3. パンヌスとは?
解答
炎症性細胞の浸潤と血管新生により増殖した滑膜細胞が軟骨に食い込むほどの肉芽組織を形成したもの。
問4. 関節リウマチの関節は、どのような機序で動かなくなるのか?
解答
滑膜細胞から始まった炎症の波及でパンヌスが形成され、軟骨下骨破壊と瘢痕化による関節裂隙の狭小化が起き、最終的に関節が癒合してしまう。
問5. 米国・欧州リウマチ学会での関節リウマチの分類基準項目を5つ挙げよ。
解答
ⅰ) 1関節以上で臨床的に滑膜炎を認める(関節腫脹がある)
ⅱ) 罹患関節数
ⅲ) 血清学的検査
ⅳ) 急性期反応物質
ⅴ) 症状の持続
問6. 米国・欧州リウマチ学会での関節リウマチの分類基準は、何点で関節リウマチと診断するか。
解答
6点以上。
スコアを覚える必要はあるが、具体的な症例を思い浮かべると覚えやすい。
→“50代の初老の女性が、2か月ほど両膝や両手のあちこちの指関節が腫れてこわばる、と言って相談に来院された。採血ではリウマトイド因子が陽性で、CRPが3程度。抗CCP抗体をオーダーしつつ、早期に抗リウマチ薬を処方してみることにした。”などはいかがであろうか。
問7. 関節リウマチの診断基準が刷新された背景と留意すべき点を述べよ。
解答
旧分類法では、関節リウマチの早期診断をつけられず、早期からの薬物療法を開始することができなかった。新基準では早い時期からの治療開始が期待されている。
一方、リウマチ以外の疾患でも6点以上となることがあるため、臨床的に他の疾患の可能性を除外する必要がある。
問8. 関節リウマチに特徴的な朝のこわばりが生じる機序を述べよ。
解答
狂った滑膜細胞がヒアルロン酸を分泌することで水分が引き付けられ、関節内に水が貯留することでこわばってしまう。運動することでこわばりが消えるのは、水が関節外に排泄されるため。
問9. 関節リウマチによる関節の変形所見を4つ挙げよ。
解答
ⅰ) 尺側偏位
ⅱ) スワンネック変形
ⅲ) ボタン穴変形
ⅳ) ハンマー状足趾
問10. 関節リウマチにおける手指関節病変の特徴的な陰性所見は?
解答
遠位指関節での病変は稀である。
もしも遠位指関節での病変が認められた場合、それはHeberden結節を疑う(中年女性に多い)。
問11. 関節リウマチの関節外症状を7つ挙げよ。
解答
ⅰ) リウマトイド結節・・・擦れる部位に無痛性皮下結節
ⅱ) 肺線維症
ⅲ) 胸膜炎
ⅳ) 傍関節性骨粗鬆症
ⅴ) 手根管症候群
ⅵ) 環軸関節亜脱臼
Ⅶ) 強膜炎
問12. Caplan症候群とは?
解答
問13. 関節リウマチに最も合併しやすい膠原病はなにか?
解答
問14. 関節リウマチの関節液中の補体価はどうなる?
解答
問15. 関節リウマチと非炎症性疾患(変形性膝関節症など)を鑑別する古典的方法を2つ挙げよ。
解答
問16. 曳糸テストとは?
解答
関節液中には、その粘稠度を保つムチンという糖蛋白が存在する。関節リウマチでは、このムチンを分解してしまうので、糸を曳かなくなる。
問17. ムチンクロット検査とは?
解答
まず、採取した関節液に氷酢酸を加えて沈殿物を作る。正常ではこの沈殿物は容易には崩壊しないが、粘稠度の低下した関節リウマチなどでは容易に崩壊する。
問18. 膝関節での関節穿刺部位はどこか?
解答
膝蓋骨の上外方から水平に穿刺する。
実臨床上、膝蓋骨の直上や直下でなければ問題ないことが多い。
問19. DAS28とは何か?
解答
リウマチの活動性判定スコアのこと。
おおよそ3か月ごとに再評価を行い、至適薬物療法を行う。
問20. 関節リウマチで最も特異度の高い血液マーカーは何か?
解答
抗CCP抗体(特異度95%)。
おおよそ3か月ごとに再評価を行い、至適薬物療法を行う。
問21. 関節リウマチの治療薬を4つに大別せよ。
解答
ⅰ) DMARDs (疾患修飾性抗リウマチ薬)
ⅱ) 生物学的製剤
ⅲ) 副腎皮質ステロイド
ⅳ) NSAIDs
問22. DMARDsを5つ挙げ、各々の副作用も述べよ。
解答
ⅰ) メトトレキセート(1st choice):間質性肺炎
ⅱ) サラゾスルファピリジン:再生不良性貧血、Stenvens-Johnson症候群(商品名はアザルフィジン®)
ⅲ) ブシラミン:多彩(かつてはD-ペニシラミンだったが、その座を奪った。商品名はリマチル®)
ⅳ) 金製剤:escape現象(いきなり効かなくなる)、皮疹、腎障害、間質性肺炎
ⅴ) レフルノミド:間質性肺炎
問23. 生物学的製剤を2つ挙げ、その作用機序を述べよ。
解答
ⅰ) 抗TNF-α抗体:破骨細胞を抑える。
ⅱ) 抗IL-6受容体抗体:T細胞、B細胞を抑える。
アレルギー反応や抗インフリキシマブ抗体による効果減弱などが起こりうる点も留意しておきたい。
問24. 抗TNF-α製剤を使用する前にチェックしておくべきものを2つ挙げよ。
解答
ⅰ) 結核の有無(再燃させる)。
ⅱ) 多発性硬化症の有無(脱髄疾患を増悪させる)。
TNF-αは抗腫瘍活性も惹起する。従って、抗TNF-α製剤の長期投与で癌の発生頻度が上昇する可能性が懸念されている(が、明らかな増加の報告はない)。
問25. 関節リウマチで使用される代表的な抗TNF-α製剤を2つ挙げよ。
解答
ⅰ) インフリキシマブ
ⅱ) エタネルセプト
インフリキシマブ(レミケード®)は様々な領域に登場する製剤であり、その適応疾患や副作用は頻出問題である。関節リウマチのほか、クローン病、潰瘍性大腸炎、ベーチェット病性ブドウ膜炎、尋常性乾癬、強直性脊椎炎、川崎病などが認可されている。
関節リウマチへの第一選択薬はメトトレキセートとNSAIDsであるが、効果不十分な時にインフリキシマブが導入される。
問26. インフリキシマブの投与間隔は?
解答
隔月投与。
インフリキシマブは高価であるが、隔月投与のため高額医療制度を適用させやすく、金銭的事情のある患者の場合でも使用できることがある。
問27. 関節リウマチで使用される代表的な抗IL-6受容体抗体は何か?
解答
問28. 関節リウマチで行われる外科的治療は?
解答
ⅰ) 滑膜切除術
ⅱ) 関節固定術
ⅲ) 人工関節置換術
問29. 関節リウマチに関連した類似膠原病を4つ挙げよ。
解答
ⅰ) 悪性関節リウマチ(MRA)
ⅱ) Felty症候群
ⅲ) 若年性関節リウマチ(JRA)
ⅳ) 成人still病
問30. MRAとはどのような疾患か?
解答
重篤な関節外症状(主に血管炎)を呈し、生命予後不良な疾患
問31. MRAの特徴的な検査所見を3つ挙げよ。
解答
ⅰ) 炎症所見(白血球↑、CRP↑、赤沈↑)
ⅱ) リウマトイド因子陽性
ⅲ) 補体価の消耗性低下
問32. MRAの治療法を2つ挙げよ。
解答
ⅰ) 副腎皮質ステロイドの大量投与
ⅱ) 血漿交換療法
問33. 関節リウマチに脾腫と白血球減少を伴った疾患といえば何か?
解答
Felty症候群
※特に、白血球が低下するという点がMRAとの最大の違いである。
問34. Felty症候群の関節外症状に特徴的なものは?
解答
問35. 若年性関節リウマチ(JRA)の定義を簡潔に述べよ。
解答
問36. JRAの疫学上の特徴、および好発年齢を述べよ。
解答
ⅰ) 小児膠原病で最多。
ⅱ) 好発年齢は2歳と10歳(二峰性ピーク)
問37. JRAを3タイプに分類し、各々の特徴を挙げよ。
解答
ⅰ) 全身型(Still病):2歳前後に好発。発熱と発疹が先行する。
ⅱ) 多関節型:年長女児に好発。通常の関節リウマチに近い。
ⅲ) 単関節型:年長女児に好発。虹彩毛様体炎を合併する。
問38. 全身型JRA(Still病)でみられる熱型といえば?
解答
38℃以上の弛張熱(1日の熱差が1℃以上)
※リウマチ熱との鑑別上、重要なポイントでもある。
問39. 全身型JRA(Still病)でみられる発疹の特徴は?
解答
問40. 全身型JRAの合併症を5つ挙げよ。
解答
ⅰ) リンパ節腫脹
ⅱ) 肝脾腫
ⅲ) 心外膜炎
ⅳ) DIC
ⅴ) 血球貪食症候群
※症状や合併症、発症様式とも、ウイルス感染と見誤りやすい。
問41. JRAのリウマトイド因子、およびフェリチン値はどうなる?
解答
リウマトイド因子は陰性。
フェリチンは異常高値となる。
※頻出問題である。
問42. JRAおよび成人Still病で認められる血清フェリチン値は何を反映する?
解答
活動性を反映する。
サイトカインに刺激されたマクロファージが、どんどんと貯蔵鉄を汲み出すためである。
問43. JRAの治療薬を3つ挙げよ。
解答
ⅰ) メトトレキセート
ⅱ) NSAIDs
ⅲ) アスピリン
問44. 成人Still病の治療薬を挙げよ。
解答
問45. リウマトイド因子陰性の脊椎関節疾患を3つ挙げ、その共通点を述べよ。
解答
ⅰ) 強直性脊椎炎
ⅱ) Reiter(ライター)症候群
ⅲ) 乾癬性関節炎
これら3疾患は、HLA-B27陽性という点で共通している。
問46. 強直性脊椎炎の炎症はどこから始まるか。
解答
問47. 強直性脊椎炎において、傍脊椎靭帯が骨化して可動性が失われる所見をなんと呼ぶか?
解答
問48. 強直性脊椎炎の合併症を4つ挙げよ。
解答
ⅰ) 虹彩毛様体炎
ⅱ) 大動脈炎
ⅲ) 大動脈弁閉鎖不全症
ⅳ) 炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎、Crohn病)
※脊椎炎の症例を診察する際に、胸に聴診器を当てる整形外科医は少ないと思われる。診断は内科医の本領であり、合併症の併存を意識した全身の診察を心掛けたい。
問49. 強直性脊椎炎の治療薬は?
解答
問50. Reiter症候群のtriasを挙げよ。
解答
問51. Reiter症候群の尿道炎の起因菌は?
解答
問52. Reiter症候群の予後は?
解答
問53. 乾癬性関節炎の概要を述べよ。
解答
尋常性乾癬に合併した関節炎。NSAIDSとDMARDsで治療する。
問54. リウマチ熱とは何か。
解答
A群レンサ球菌感染症後遺症の一つ。Ⅱ型アレルギーによるものである。
問55. リウマチ熱に合併する腎障害といえば?
解答
問56. リウマチ熱の大症状を5つ述べよ。
解答
ⅰ) 心内膜炎(特に僧帽弁)
ⅱ) 輪状紅斑
ⅲ) 関節炎(大関節炎、多発性関節炎)
Ⅳ) 舞踏病
ⅴ) 皮下結節
上記はJones基準の諸項目であり、しばしば臨床問題の文中にキーワードとして記述されていることが多い。
問57. リウマチ熱の治療方針を2つ挙げよ。
解答
ⅰ) 溶連菌への治療→ペニシリンやマクロライド
ⅱ) 炎症への治療→→アスピリン(心炎を伴う時はステロイド)
<参考:色々似ていてややこしい?~若年性関節リウマチJRAとリウマチ熱の比較~>
|
JRA |
リウマチ熱 |
乳児発症 |
あり |
なし |
臨床経過 |
3か月以上 |
3か月以内に治癒 |
関節症状 |
大関節から始まるが小関節も。 |
大関節のみ。かつ一過性。 |
発疹 |
リウマトイド疹 |
輪状紅斑 |
心症状 |
心外膜炎 |
心内膜炎・心筋炎 |
ASO値上昇 |
なし |
あり |
白血球数 |
上昇 |
やや上昇 |
※正常乳児でもASO値は上昇することがある。 |